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『琉球新報』2006年3月14日付

開学09年と12年で対立 大学院大学


 大学院大学構想を沖縄担当相当時に提唱した尾身幸次衆院議員は13日午後、
「大学院大学の実現に向けて」と題して那覇市の沖縄ハーバービューホテルで
講演。大学の開学時期をめぐり、2009年とするノーベル賞学者らでつくる
ボード・オブ・ガバナーズと、12年をめどとする内閣府が対立している現状
を指摘。「プロジェクトが予定通りいかないと空中分解してしまう危険性があ
る」と述べ、開学時期が遅れた場合は研究者招へいなどでボード委員の協力が
得られず、世界最高水準の実現が困難になるとの認識を示した。 講演会を主
催した沖縄科学技術大学院大学設置促進県民会議(会長・稲嶺恵一知事)は、
09年開学を求める要請書を近日中に幹事会を開いて決議し、関係閣僚に要請
することを確認した。

 創設学長のシドニー・ブレナー博士は開学時期を「08年ごろ」としていた
が、政府は昨年末の関係閣僚会合で「今後7年程度以内をめどに実現」と申し
合わせた。

 尾身氏は、今年1月に米サンフランシスコで開かれた大学の設立母体となる
沖縄科学技術研究基盤整備機構の第1回運営委員会(ボード・オブ・ガバナー
ズ)の議論の内容を説明。

 内閣府が「予算の進み具合からすると、12年までは大学院大学はスタート
できない」と説明したことに対し、ジェローム・フリードマン博士(米マサ
チューセッツ工科大教授)が「開学の遅れは一般の人たちに間違ったメッセー
ジを伝え、沖縄大学院大学の名声を傷つけるもので、失望を禁じ得ない」と述
べ、政府が当初の目標を達成できない場合は計画自体の中止を求めたことを明
らかにした。

 尾身氏は「プロジェクトが危険な状態になっていることを理解してほしい」
と述べ、沖縄側から早期開学を求める意思表示をするよう促した。