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『南日本新聞』2006年3月10日付

焼酎講座 鹿大、県酒造組合と協定
寄付4億5000万円


 鹿児島大学(永田行博学長、鹿児島市)は9日、2006年度に設置する産
学官連携の寄付講座「焼酎学講座」について、鹿児島県酒造組合連合会(本坊
喜一郎会長、110社)と協定を結んだ。同連合会は5年間で4億5000万
円を寄付する。また同講座の客員教授に、醸造学や発酵学の専門家として知ら
れる東京農業大学の小泉武夫教授を招くことも明らかにした。

 同講座は、鹿児島の焼酎文化を発展させ世界ブランド化を目指すとともに、
次代を担う「焼酎の匠(たくみ)」の育成が狙い。焼酎の専門講座は国内初。

 鹿大によると、同講座は農学部生物資源化学科に設け、醸造微生物学と焼酎
製造学の2研究室からなる。教員は教授、助教授、助手各2人の計6人で、小
泉教授のほかは公募。県が派遣する技術職員2人が研究補佐にあたる。本格開
講は07年度で3年生以上が対象。講師として酒造メーカー経営者や杜氏(と
うじ)を招く構想もある。08年度以降は大学院でも授業を開き、焼酎工場で
の長期研修などを導入する。

 寄付金は、2月に県が表明した5年間5000万円と合わせ総額5億円。大
半が教員の人件費のほか、焼酎製造プラントや分析機器の購入に充てられる。
鹿大は毎年財務状況を同連合会に報告。同連合会は08年度をめどに研究の進
ちょく状況を審査、研究の方向性に対する提言を行う。

 協定書調印後の会見で永田学長は「鹿児島の伝統文化である焼酎を、学問の
場で責任を持って発展させたい」。本坊会長は「すばらしい提携ができた。業
界だけでなく、社会全体に役立つ焼酎づくりができることを期待している」と
話した。

 同講座は、文部科学省産学官連携広域コーディネーターの砂田向壱氏(九州
大客員教授)と電通九州鹿児島支社が企画。日本政策投資銀行南九州支店が酒
造業界を取りまとめ、実現にこぎ着けた。