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nikkeibp.jp 2006年3月9日付

篤志家が東大本郷キャンパスにベンチャー企業インキュベーション施設を建設


 東京大学産学連携本部は、本郷キャンパス内に東大発ベンチャー企業のイン
キュベーションを図る施設「東京大学ベンチャープラザ」(仮称)を建設する
計画をこのほど明らかにした。この実現のために、本郷キャンパスの土地を"篤
志家"に貸し付け、その篤志家がその場所にベンチャー企業インキュベーション
施設を建設し運営するスキームを採用する。

 具体的には、学術貢献目的の篤志家として、アデランス創始者の根本信男氏
が名乗りを上げ、ベンチャー企業インキュベーション施設建設と運営について
の基本協約を東大と締結した。根本氏は本郷キャンパスの一部を定期借地し、
同施設を建設する。そして、東大が選定する大学発ベンチャー企業などに建物
の部屋を賃貸する。定期借地契約が終了する30年後には、同施設を東大に無償
譲渡する契約である。

 根本氏は、東大と作成するガイドライン(安全管理基準などを含む)に従っ
て同施設を運営・管理する。ベンチャー企業インキュベーション施設の運営で
は、財務リスクが生じる可能性があるが、このリスクを引き受ける意向を表明
している。この結果、東大は同施設の建設、運営、管理による財政支出を原則
負担しない。同施設の建設計画は、「国立大学法人法第22条(国立大学法人の
業務の範囲等)第1項第5号に規定される国立大学法人業務を行うことに資する」
と、東大産学連携本部は説明する。

 同施設の建設場所は、産学連携本部や承認TLO(技術移転機関)の東京大学
TLO(東京都文京区)が入居してる産学連携プラザと医学部5号館(旧看護学校・
助産婦学校)の間にある現車庫敷地である。産学連携プラザの別館と位置づけ
る。

 建物は地上7階建て、延べ床面積約3600平方メートルで、2階から7階までの各
階に1室当たり約60平方メートルの部屋を5室、合計30室備える。バイオテクノ
ロジー系を含む実験室(ウェット・ラボラトリー)にも対応可能な仕様とする
計画である。

 大学発ベンチャー企業の起業支援は、ベンチャーキャピタルの東京大学エッ
ジキャピタル(東京都文京区)が担当している。同社は、今後3〜4年間に大学
発ベンチャー企業約40社を支援する計画を持っている。この実現には、新たな
ベンチャー企業インキュベーション施設が必要になる。この需要を新施設が請
け負うことになる。(丸山 正明=産学連携事務局編集委員)