新首都圏ネットワーク
  トップへ戻る 以前の記事は、こちらの更新記事履歴

『日刊工業新聞』2006年3月3日付

新潟大学、TLOに資本参加−経営基盤強化へ国立大初

 新潟大学は広域型の技術移転機関(TLO)である新潟ティーエルオー(新
潟市、結城洋司社長、025・262・7464)に資本参加する。国立大学
による承認TLOへの出資は初めて。 新潟TLOに対する国の補助金が05年
度で終了するためで、経営基盤強化のため新潟大の技術移転収入から500万
円を出資し、持ち株比率7・1%の株主になる。 教員個人や同窓会を合わせた
同大関連の出資比率は28・1%となり、県内複数大学の発明を扱う新潟TL
Oの中で同大の位置づけが高まる。 3月中に小坂憲次文部科学相が認可する見
込みだ。

 国立大学法人は承認TLOに限って出資可能だが、大学は運営費交付金以外
の原資を用意し、TLOの累積損益が黒字であることが必要など、国の基準が
厳しく、これまで出資事例がなかった。

 これに対し、新潟大は教員が発明した水素ガスセンサーの小型チップ技術
(当時は個人発明)が燃料電池自動車向けに有望で、地元のテクノリンク(新
潟市)に技術移転。 04年度から年間2200万円の移転収入から経費を抜い
た分をTLO500万、大学500万、発明者670万円で配分している。 こ
のため新潟TLOは04年度に黒字転換し、05年3月期は約690万円の経
常利益を上げた。

 新潟TLOは国の補助金切れに合わせ、資本金5000万円(総発行株式1
000株)に対し400株の増資を計画しており、うち100株500万円を
新潟大で引き受けることにした。

 新潟TLOは新潟県内の20数大学・機関の発明を扱う。 増資対応は国立の
長岡技術科学大や上越教育大、私立大、地元企業などが個々に判断する。 新潟
大は同TLOを工学部内に置き、扱い案件も多いため、他に先駆けて関係強化
する格好だ。

 承認TLO41機関のうち会社型は補助金切れに伴う自立が、広域型は参加
校の姿勢のバラつきがそれぞれ課題となっている。