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『沖縄タイムス』2006年3月5日付 大弦小弦 家庭の経済格差が拡大していますかという問いに、全国の小中学校教員の八 割が「そう感じる」と答えた。しかも、その影響で低所得層の子どもたちの学 力が低下していると思う教員は五割近くもいた。 先日の共同通信社のアンケートだが、なるほど、と納得できる。低所得層の 子どもたちの学習環境は深刻である。親は生活に追われ、勉強をみるゆとりが ない。学費、給食費が出せない。子どもの教育に無関心な家庭が増えたという。 教育費用は高騰している。たとえば、小中学の塾費用は一万−数万円、大学 の予備校となると、年間五十万円を超えるのはざらだ。国立大学の入学料は私 立大学より高い。豊かな家庭の子どもがよい教育を受けられ、そうでない家庭 の子どもは受けられない。 実は、一年前のこの欄で、教育の格差二極化について書いた。教育学者らは 一九八〇年半ば以降、教育格差が顕在化したと指摘している。彼らが最も懸念 するのは、学習社会から排除された低所得層の子どもたちの間に「虚無感」や 「無関心」が浸透することだという。 勉強しても無駄、社会がどうなろうと自分の知ったことではない、と考える 子どもたちが増えたら、この社会はどうなるだろうか。 学校現場も、そんな子どもたちの対応は十分できていないと漏らす。学ぶ機 会が奪われていると言ってもいい。学びたいと願っていて、かなえられない子 どもたちの心の内を思う。(銘苅達夫) |