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『産経新聞』2006年3月3日付

政府系金融 全役員、天下り禁止 行革推進法案の全文判明


 政府が今国会に提出する行政改革推進法案の全文が二日、明らかになった。
八つの政府系金融機関を統廃合して平成二十年度に発足させる新たな政府系金
融機関については、関係官庁からの役員への天下りを原則禁止する規定を設け
たほか、国際協力銀行(JBIC)の円借款部門を国際協力機構(JICA)
に移行することを盛り込んだ。政府は十日の閣議決定を目指しており、人事院
の職員純減をめぐる問題が調整事項として残されている。

 同法案は今後の行政改革の方向性やプログラムを示したもので、昨年末に閣
議決定した「行政改革の重要方針」に基づく諸改革や、政府に行政改革推進本
部を設置することを柱に七十八条で構成されている。政府系金融機関の改革を
めぐっては小泉純一郎首相が一日、中馬弘毅行革担当相に指示した結果、天下
り規制の範囲を経営トップだけでなく、全役員にまで広げた。

 また、商工組合中央金庫と日本政策投資銀行は「完全民営化」と明記し、政
府出資を民営化から七年後までにゼロとすることを盛り込んだ。ただ、両機関
の機能の根幹が維持される仕組みを政府に対して求める条項も設け、根拠法を
作らない方法で「政府保証」をつけられる道筋を残した。

 JBICの扱いに関しては、安倍晋三官房長官の下に設置された「海外経済
協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)の報告書を踏襲。国際金
融部門は新たな政府系金融機関と統合するが、継承する業務は(1)海外での
重要資源の開発、取得(2)国際競争力の維持、向上(3)国際金融秩序−に
限定すると明記した。

 公務員総人件費削減にあたり、中馬行革担当相は人事院を職員純減の対象と
するよう法案に何らかの形で盛り込みたい考えを示しているが、人事院が「自
らの判断で削減に取り組んでいる」(佐藤壮郎総裁)との理由で抵抗している
ため、調整は難航しそうだ。

     ◇

 ■行政改革推進法案の主な条文

 五条 新政府系金融機関の経営責任者は設立目的、担当金融業務に照らし必
要と認められる識見、能力を有する者から選任。特定の公務の流れを有する者
が固定的に選任されないように十分配慮

 六条 商工組合中央金庫、日本政策投資銀行は完全民営化。政府出資は平成
二十年度からおおむね五−七年後をめどに全部を処分。商工中金と政策投資銀
の機能の根幹が維持されるよう必要な措置を講じる

 一二条 国際協力銀行(JBIC)は同二十年度に新政府系金融機関に統合。
承継するのは、国際金融業務のうちの、重要な資源の海外での開発、取得の促
進、産業の国際競争力維持と向上、国際金融秩序の混乱への対処に限定。海外
経済協力業務は国際協力機構(JICA)法を改正して同機構に承継

 二〇条 道路特定財源制度にかかる税は同十七年十二月の税率水準を維持。
収入は一般財源化を図ることを前提に、同十九年度以降の歳出・歳入のあり方
とあわせ、納税者の理解を得つつ具体的な法改正案を作成