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『読売新聞』2006年3月2日付

公務員5%減、他省庁への異動も…行革推進法案明記へ


 政府は1日、今国会の重要法案と位置付ける行政改革推進法案の原案を固めた。

 公務員削減を円滑に進めるため、省庁をまたぐ配置転換の仕組みを整備する
ことを盛り込んだ。定員削減目標の多い省庁から少ない省庁へ異動を進める狙
いがあるとみられる。政府系金融改革では、商工組合中央金庫(商工中金)の
「完全民営化」を明記し、根拠法は廃止する。天下り規制も経営トップに限ら
ず複数の「経営責任者」を対象とすることになった。

 小泉首相は1日、首相官邸で、安倍官房長官や中馬行政改革相と会談し、法
案の原案を大筋で了承した。

 原案は「簡素で効率的な政府の実現が喫緊の課題」として、政策金融改革、
独立行政法人見直し、特別会計改革、公務員削減、国の資産・債務改革――の
五つを重点分野とした。

 公務員削減では、国の行政機関の職員約33万2000人を2006年度か
ら5年間で5%削減するとの目標を掲げた。約1万7000人を削減するもの
だ。

 削減の具体策としては、新規採用の抑制と、国の事務・事業の合理化による
人員削減、民間委託、独立行政法人化を挙げた。

 さらに「職員の異動を円滑に行うため、府省横断的な配置の転換及び職員の
研修を行う仕組みを構築する」と明記した。

 これまで、事業を合理化した省庁は、人員の削減分を同じ省庁内の配置転換
や採用抑制などで対応していた。政府は今回、大規模な合理化による削減に踏
み切ることから、それぞれの省庁内の対応だけでは無理と判断し、削減対象の
公務員が別の省庁に移る制度を整備することにしたものだ。

 政府は法案成立後、配置転換の具体策を決めるため、内閣官房に対策会議を
設置する。政府内では〈1〉内閣官房が各省庁との協議で配置転換枠を決める
〈2〉政府が毎年まとめる公務員削減計画に、各省庁が他の省庁から受け入れ
る公務員数を明記する――といった案が検討されている。

 同じ地方にある出先機関の間の配置転換や、今後増員が必要な治安関係の職
場への異動などが想定される。これに対し、政府内には「他省庁に異動してす
んなり仕事ができるのか、削減のための員数合わせの側面は否めない」との指
摘もある。

 公務員削減の重点分野としては、農林水産省の食糧管理、農林統計両部門な
どを盛り込んだ。刑務所などの行刑施設については、「刑務官は除く」とした。
行刑施設の定員の9割が削減対象から除外される。政府は法案を10日に閣議
決定し、国会に提出する運びだ。