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『静岡新聞』2006年2月25日付

県内、産学官研究から人気商品 健康志向、がっちり 


 県内の大学・研究機関と企業による産学官共同研究で開発されたチョコレー
トや緑茶飲料が全国的に好調な売れ行きをみせている。各メーカーが「うまさ」
と、ストレス解消や抗アレルギー作用といった「機能性」をキーワードに市場
を開拓している。

 心身のストレスによる生活習慣病の予防を狙いに、県立大や静岡大、県など
が取り組んでいる文部科学省指定の産学官連携事業「フーズサイエンスヒルズ」
の成果としてヒットしているのがグリコの「メンタルバランスチョコレートG
ABA(ギャバ)」だ。

 ギャバはカカオに含まれるアミノ酸の一種で、抗ストレス作用がある。本県
を含む関東だけだった販売地域を昨年10月、全国展開に移行した。「ストレ
ス社会で闘うあなたに」というキャッチコピーがうけ、当初の年間目標20億
円を大きく上回る30億円の売り上げを達成した。

 「大人の男性のお客さまが多く、都心部でよく売れている」と同社広報部。
「頭がすっきりする感じ。会社で同僚に配っています」。購入者からはこんな
メールや電話が届くという。

 緑茶業界でも各メーカーが機能性に着目してしのぎを削っている。アサヒ飲
料は1月、独立行政法人野菜茶業研究所(島田市)などとの共同研究を生かし
て「べにふうき緑茶」を売り出した。

 べにふうきは緑茶の葉に抗アレルギー作用のある「メチル化カテキン」を含
んでいる。間もなく花粉症シーズン。生産量が少なくインターネットを使った
3万ケースの限定販売だが、同社は「売り切れてしまうかも」と手応えを感じ
ている。

 県立大との研究を元に、茶のうまみ成分で抗ストレス効果のある「テアニン」
を使って「テアニン緑茶」を販売するサッポロ飲料の安西政晴商品開発室長は
「健康志向による機能性と、よりうまい商品に消費者は流れていく」と推測す
る。

 独立法人化の進む国立大学や研究機関にとっても共同研究は大きな魅力だ。
野菜茶業研究所の山本万里茶機能解析研究室長は「研究機関にとって成果は大
きな宣伝効果。大学や研究機関が社内ベンチャーを立ち上げれば、研究費の確
保にもつながる」と今後を見通した。