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『日刊工業新聞』2006年2月17日付

知財戦略本部、大学の知財研究を強化―TLO改革を提言


 政府の知的財産戦略本部は、大学での知的財産を活用した研究活動強化に向
けた施策群をまとめた。研究目的での他者の特許発明の使用を円滑化するため
のガイドラインの策定や、大学の知財本部と技術移転機関(TLO)の一本化
などを提示している。 17日の知的創造サイクル専門調査会に示し、6月に取
りまとめる「知的財産推進計画2006」に盛り込む方針。

 国立大学の法人化などを契機に、これまでに43大学で知財本部が設置、4
1のTLOが創設されるなど、大学における知財活用への機運は急速に高まっ
ている。 ただ、大学の本来の役割である「知の創出拠点」として質の高い研究
成果を創出し、それを知財として権利化して活用するという段階まで到達して
いる大学はわずかに留まっている。

 同本部はこうした実態を踏まえ、今後大学が取り組むべき方向性をまとめた。

 まず、知財を活用した研究活動を促進するため、最新の特許情報を把握した
上で研究対象の絞り込みを図ることを奨励し、研究投資に対し研究成果を最大
化することを求める。 国の予算で行った発明のライセンスに関するガイドライ
ンを策定し、研究における他者の特許使用を円滑化させる。 一方で、最近浮上
した研究における一連の不正問題を受け、研究ノートの導入とその記載や管理
方法について研修を奨励する。 また、産学連携の取り組みを強化するため、大
学知財本部とTLOを一本化し、総合的で効果的な体制整備を図ることを求め
る。 同時に企業や教職員などとの契約問題を解決するため、多様な事例集を作
成し、紛争を未然に防止する取り組みを強化する。 一方、教職員や学生との守
秘義務や紛争処理の指針となるルールを整備し、公表することも求める。