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『北國新聞』2006年2月15日付

残って、先端大卒業生 能美市が雇用企業に助成金 新年度 月5万円上限に


 能美市は新年度から、北陸先端科学技術大学院大(同市旭台町)の新卒者を
雇用する市内の企業に補助金を交付する方針を固めた。最先端の科学技術を身
に付けた優秀な人材を地元につなぎ止め、地場企業の業績向上や人口増につな
げるのが狙い。県外出身者が多いこともあるが、卒業後は同市を離れてしまう
現状を打破したい市の切実な思いがにじみ出ている。県で特定大学の新卒者雇
用に対する補助金交付は「過去に聞いたことがない」(商工労働部)としてい
る。

 計画では、補助金は就職した新卒者の給与の一部として採用した企業に、月
額五万円を上限に給与の四分の一を支給する。交付期間は最初の給与支払いか
ら一年間。

 先端大によると、〇四年度の卒業生二百八十人の就職先は、東京地区が百十
一人に対し、石川県内は十一人にすぎず、能美市はゼロだった。このため、能
美市では、酒井悌次郎市長が「素晴らしい大学がありながら地元企業との連携
が十分でなかった。有効活用しない手はない」として、合併を機に先端大を核
とした産学官連携に力を入れ始めた。

 昨年九月に市が仲介役となり、市内の工業団地と先端大との企業経営懇談会
を開催したのを皮切りに、経営側の先端大見学なども行ったが、交流や懇談の
域を出ておらず、今回初めて具体的な施策を打ち出した。

 ただ、補助金が即、地元就職に結びつくとは限らず、就職率ほぼ百%の先端
大生の大都市、大企業志向を翻せるかどうか不透明な部分もある。

 市内の粟生工業団地振興会の田上好道会長は「先端大の学生はお金を払って
でも欲しい人材。市の施策を受けて積極的に地元企業をアピールしていかなけ
ればならないが、必要なのは企業の魅力を高めること」と話している。