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『高知新聞』2006年2月14日付

高知女子大一部移転に注文 県議会委で青山学長


 高知女子大(高知市永国寺町)の青山英康学長は13日開かれた県議会企画
建設委員会(森田英二委員長)で、JR高知駅前につくる複合施設に同女子大
の一部学部を移転させる県の計画について女子大としての考えを説明。「大学
としてふさわしい環境確保が可能かどうか、学生などの意見を聞いて計画を」
と県に注文を付けた。

 女子大側は青山学長や各学部長が出席。同学長は、複合施設へ一部移転する
問題点として▽キャンパス分離(永国寺町と同市池)が改善しない▽運動場や
体育館などの施設や勉学の場としての環境面が不安――などを挙げた。

 その上で「キャンパスは管理運営面でできるだけ統合した方が学生や教員に
とって望ましい」と説明。移転計画について賛否を言う立場にはないと断った
後で「現状では学生へのメリットはほとんどない」「学生や同窓会の意見を聞
き、納得できる計画にしてほしい」と厳しく注文を付けた。

 また、県が県立大の新学部構想として昨年11月に発表した「法務総合学部」
について、学生募集や卒業後の求人面に懸念を表明。「法学部より、保健や医
療に特化できる(女子大側が提案している)薬学部の設置がよい」などと話し
た。

 委員からは女子大側と県側のこれまでの協議経過について「意思疎通が不十
分」「主人公の学生が無視されてないか」などと苦言が出た。

 県立大改革などを所管する県企画振興部の十河清部長は「学長との話し合い
で、学生にアンケートなどを取り、その意見を駅前複合施設に盛り込むことに
なっていた」とした上で「両者が意見を出し合う場を早急に持ち、理解し合い
たい」などと話した。

 足りない意思疎通

 県議会の委員会という場で噴き出した高知女子大の県側への不満。JR高知
駅前の複合施設構想は計画段階で、県も具体的施設の青写真を出すのはこれか
ら。この段階での女子大側からの“注文”は、それまでの県側との意思疎通が
十分でなかったことの裏返しだ。

 女子大側は委員会で、複合施設の構想について「(9月議会前の)新聞報道
の前日か前々日に聞いた」などと説明。県側からの連絡の遅れなどを問題視し
た。

 これについて県私学・大学支援課は取材に「県の厳しい財政状況から、(構
想は)これから検討すると発表して検討を始めた計画」と説明。「公表前は課
内でも一部しか知らなかった」と、女子大側への相談を意図的に避けたわけで
ないと強調する。

 しかし、こうした両者の認識の違いが、県立大学改革の「実り」を妨げるこ
とは間違いない。委員からも、大学と県双方の姿勢に疑問の声が上がった。

 法務総合学部の計画についても女子大側が取材に「(昨年11月末に)構想
が出て、初めて中身を知った」と言えば、県側は「昨年4月に大学との話し合
いで、県が構想をまず出すことを了解したはず」。ここでも主張はかみ合わな
い。

 「“別床別夢”ではどうにもならん」。委員会の終わりに、議会側から飛び
出した言葉には、皮肉ではすまない重さが漂う。3月末には県が県立大の基本
計画をまとめる。それまでに両者が腹を割った話ができるのか。残された時間
は少ない。