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給与構造見直しの現給補償の落とし穴

he-forum 各位          2/14/06

     山形大学職員組合書記長 品川敦紀

すでに、全大教、九州工大職組、京大職組などで、平成17年人勧による「給与構造の見
直し」による損失額の試算が出されておりますので、目新しい話というわけではありませ
んが、私どもの山形大学職員組合で、地域手当が付かないの場合の損失額を、各級モデル
で試算してみました(下記参照)。

その過程で気が付いたことをご紹介いたします。

今回の給与構造の見直しは、平均で4.8%(0.3%分を加えると5.1%)、最高で
7%(同じく7.3%)の基本給の切り下げを中心としています。この際、平成18年4
月1日付で新基本給表による給与月額が、平成18年3月31日現在の給与支給額を下回
っている場合は、新規本給表による給与月額が上回るまで、平成18年3月31日現在の
給与月額補償することになっています。

この「現給補償」によって大幅な賃金ダウンがなくなったため、一部に安堵の声もあった
ようです。実際、損失額の計算をしてみますと、55歳以上の教職員は、現行でもすでに
昇給停止をしていましたから、今回の新制度への移行によって昇給がストップしても、現
給補償がされる限り実害は極めて少なくなりました。他方、若年層は、生涯賃金で見ると
最も大きな損失を被るわけで、これは問題ですが、向こう5年に限ってみますと、昇給率
がさがるものの毎年一定の昇給があり、損失額も高々数十万円にとどまっています。

他方、30代後半から、50代前半のいわゆる中堅どころの教職員は、本来ならば年、数
千円から1万円程度の昇給があったにもかかわらず、向こう4〜5年間一切昇給が奪われ
るため、その損失額は100万から250万円にものぼることになります。

この世代は、大学生、中高生を持ち、教育費、養育費が最もかさむ世代であり、定期昇給
が生計の維持に不可欠な世代といいてもいいでしょう。この世代に集中的な打撃を与える
今回の「給与構造の見直し」は、内容に合理性があるとはとても言えません。

仮に給与構造の見直しを行うにしても、各国立大学執行部は、例えば、15〜22歳の子
供の扶養手当を倍加するなど、最も打撃を受ける中堅世代の救済策を講じるくらいの裁量
を発揮してもらいたいものです。

********損失額試算例*************
試算について
夏期年収には、月額2000円の通勤手当、15〜22歳の子供の扶養手当を1人月額11000
円、また、寒冷地手当4級地として、扶養家族ありの場合年89000円、無しの世帯主の場
合年51000円、世帯主でない場合(医療二)年36800円で計算している。地域手当、調整手
当、広域移動手当、管理職手当は含まれてない。教育職一は、大学院調整数2で計算、教
育職二、三には、教職調整額を加算している。

教育職(一) 5級モデル 2005.4.1 5-13昇給
50歳+配偶者+19歳子供+16歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 9482660 9482660
2006 9666340 9487140 179200
2007 9837960 9474450 363510
2008 9992140 9474450 517690
2009 9976680 9309450 667230
2010 10123240 9393840 729400
5カ年計 49596360 47139330 2457030

教育職(一) 4級モデル 2005.4.1 4-11昇給
40歳+配偶者+9歳子供+6歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 7727140 7727140
2006 7869380 7730440 138940
2007 8007740 7721890 285850
2008 8134780 7721890 412890
2009 8256740 7734230 522510
2010 8374080 7818120 555960
5カ年計 40642720 38726570 1916150

教育職(一) 2級モデル 2005.4.1 2-9昇給
30歳+配偶者
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 5178620 5178620
2006 5368580 5349850 18730
2007 5563580 5474950 88630
2008 5757700 5613130 144570
2009 5988960 5819920 169040
2010 6105120 5889010 216110
5カ年計 28783940 28146860 637080

一般職(一) 6級モデル 2005.4.1 6-14昇給
48歳+配偶者+17歳子供+14歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 6691120 6691120
2006 6892720 6774900 117820
2007 6988920 6785040 203880
2008 7072420 6785040 287380
2009 7132980 6785040 347940
2010 7190080 6785040 405040
5カ年計 35277120 33915060 1362060

一般職(一) 5級モデル 2005.4.1 5-12昇給
43歳+配偶者+10歳子供+7歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 5860700 5860700
2006 5982060 5880140 101920
2007 6100740 5875700 225040
2008 6196040 5875700 320340
2009 6275520 5896760 378760
2010 6462440 6021110 441330
5カ年計 31016800 29549410 1467390

一般職(一) 4級モデル 2005.4.1  4-8昇給
36歳+配偶者+3歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 4933240 4933240
2006 5066680 4941810 124870
2007 5196840 4997420 199420
2008 5413720 5177900 235820
2009 5534640 5268370 266270
2010 5650340 5388460 261880
5カ年計 26862220 25773960 1088260

一般職(一) 3級モデル 2005.4.1 3-5昇給
30歳+配偶者
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 3790820 3790820
2006 3918140 3913780 4360
2007 4047400 3999380 48020
2008 4170260 4094790 75470
2009 4368220 4275270 92950
2010 4473180 4354230 118950
5カ年計 20977200 20637450 339750

一般職(一) 2級モデル 2005.4.1  2-3昇給
24歳独身
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 2964260 2964260
2006 3078160 3079310 -1150
2007 3176880 3147860 29020
2008 3265300 3215310 49990
2009 3350880 3281110 69770
2010 3434820 3345260 89560
5カ年計 16306040 16068850 237190

教育職(二) 2級モデル 2005.4.1 2-19昇給
40歳+配偶者+7歳子供+4歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 7025660 7025660
2006 7188320 7055620 132700
2007 7348600 7057970 290630
2008 7491000 7062900 428100
2009 7619680 7153540 466140
2010 7748940 7237440 511500
5カ年計 37396540 35567470 1829070

教育職(三) 2級モデル 2005.4.1  2-19昇給
40歳+配偶者+7歳子供+4歳子供
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 6504280 6504280
2006 6678420 6536570 141850
2007 6853600 6539460 314140
2008 7006000 6618920 387080
2009 7150620 6719260 431360
2010 7288540 6817960 470580
5カ年計 34977180 33232170 1745010

医療職(二) 2級モデル 2005.4.1  2-10昇給
30歳(扶養家族無し)
年 賃下げ無し 賃下げあり 損失額
2005 3772740 3773740
2006 3896620 3823650 72970
2007 4016200 3883780 132420
2008 4134280 3969320 164960
2009 4253700 4051570 202130
2010 4373420 4130530 242890
5カ年計 20674220 19858850 815370