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平成18年2月10日 記者発表資料 国立国会図書館 国立国会図書館の役割について 本日(平成18 年2 月10 日)自由民主党行政改革推進本部の会合で示された 「国会事務局等改革に関する提言(メモ)」において国立国会図書館の独立法 人化が提言されています。 国立国会図書館は国会に属する機関であり、館長は両議院の議長が議院運営 委員会と協議の後国会の承認を得て任命することとされています。したがって、 国立国会図書館のあり方の問題は両議院の議長及び議院運営委員会の掌理する 事項であり、当館としては両議院の議長及び議院運営委員会の指示に従うもの であって、政党の「提言」についてコメントする立場にありません。 しかし、自由民主党行政改革推進本部による「提言」は、国立国会図書館の あり方に触れるものであるため、当館の役割について以下のとおり説明いたし ます。 ◎国立国会図書館のサービス対象は、国会か国民か ○国立国会図書館のサービス対象が国会議員、行政・司法各部門、国民である ことは、法律(国立国会図書館法第2 条)に規定されています。 ○国会に置かれた機関として(国会法第130 条)、国会議員の職務遂行に資 するのが第一の任務です。 ○それと同時に、国立国会図書館は、行政・司法各部門(府省、裁判所)に、 そして広く国民に図書館サービスを提供します。 ◎国会に図書館が置かれるのはなぜか ○世界のほとんどの国に議会があり、議会のある国のほとんどに規模の大小 や機能の広狭はあっても議会図書館が置かれています。その理由は、国会の活 動(立法、行政監視)に、立法府自前の、客観的な、資料に基づいた調査と情 報が必要だからです。 ○国立国会図書館法の前文は、このことを「真理がわれらを自由にする」と いう言葉で表しています。 ○国会のための立法補佐業務は、図書館サービス(資料の提供)にとどまら ず、掘り下げた調査・分析も行われます。(国立国会図書館法第15 条。年3万 数千件の調査回答。多数の国政審議参考資料の刊行) ◎国会の図書館が国民にもサービスを行うのはなぜか ○国立国会図書館法の前文は、「国立国会図書館は、真理がわれらを自由に するという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与す ることを使命として、ここに設立される。」と規定しています。民主主義は、 国会議員だけでなく、国民が情報を持つことによって実現されます。国立国会 図書館が国民の情報ニーズに応えることは、国会議員の活動を調査・情報面で 補佐することと目的を同じくします。 ○国立国会図書館は、納本制度により、日本の官庁出版物、民間出版物を網 羅的に収集しています(国立国会図書館法第10 章、第11 章)。これらの収集 資料は、国会議員のための立法補佐業務の基盤となると同時に、蓄積保存され、 現在及び将来の国民の利用に供されます。 ○国によっては一つの図書館が納本図書館(国の中央図書館)と議会図書館 の役割を兼ね備えているところと(日本、アメリカ)、別の図書館が各々の機 能を担っているところとがあります(イギリス、ドイツなど)。前者の方式は、 サービスの土台となる資料を共通にできるので国会、国民の双方にとって有益 かつ効率的です。 ◎国立国会図書館のあり方を考える上で留意すべきこと ○国会(衆参両議院、委員会、全議員)に対して行う立法補佐(資料に基づ く調査、情報の提供)に支障が生じないようにすることが必要です。 →議員が、だれでも、いつでも、どのようなことについてでも調査、情報 の要求ができること →質の高い調査が維持できること(議員の要求に基づく調査、国政課題を予 測して行う調査。立法府として行政府に匹敵する専門家、有為の人材の確保) →議院事務局・議院法制局の行う業務と同様に、立法府そのものの仕事 (国が自ら主体となって直接実施すべき事務)としての性格が損なわれないこ と →行政府の管下に入ることは考慮外としても、府省と対等な関係に立って 活動できること(行政情報の入手、行政府の提案に係る法案の分析評価) ○国民へのサービスに支障が生じないようにすることが必要です。 →全国の公共図書館、大学図書館、専門図書館、外国の中央図書館と連携 協力して行っている我が国の中央図書館としてのサービス →全国の国民の情報ニーズに直接応える各種の図書館サービス ○納本図書館としての機能に支障が生じないようにすることが必要です。 →政府刊行物が、国会議員・国民が利用できるように確実に納入されること →民間出版物がすべて納入され日本の文化財として蓄積保存されること。 民間出版物もまた立法補佐業務の基盤となる。 |