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nikkepbp.jp 2006年2月8日付

東北大、産学官連携推進組織を再編し地域連携と国際化を強化


 東北大学は平成18年(2006年)4月1日から現在の研究推進・知的財産本部を
産学官連携推進本部に改組するなどの産学官連携組織再編を実施する。これは、
2006年2月7日に東京都千代田区で開催された第2回東北大学先端技術交流会「東
北大学イノベーションフェア2006」で催された、講演「産学官連携の現状とサ
イエンスパーク構想」の中で、東北大理事の庄子哲雄研究推進・知的財産本部
長が明らかしたもの。

 同講演に先立って、吉本高志総長はあいさつの中で、「東北大の産学連携態
勢を待ちの姿勢から攻めの姿勢に転換するために産学官連推進体制を再編する」
と説明した。基幹総合大学としての強みを発揮するように学内資源を結集させ、
国内・国外ともに東北大の“プレゼンス”を高めると力説した。

 産学官連携組織の再編では、上部組織である産学官連携推進協議会(座長=
庄子研究担当理事)の下に、産学官連携推進本部、、未来科学技術共同研究セ
ンター(NICHe)、地域イノベーション研究センターなどを配置する。これまで、
未来科学技術共同研究センターの中に設けていたリエゾン室を拡充し、産学官
連携推進本部の中に事業化推進部を設ける。同部は事業化支援室と地域連携室
で構成する。

 産学官連携組織の再編では、地域連携活動の拡充と国際化の二つがポイント
になる。地域連携活動では、2003年12月に設けた「産学官連携ラウンドテーブ
ル」を拡充し、実務部隊のワーキンググループの活動を強化する。産学官連携
ラウンドテーブルは、東北経済連合会長と宮城県知事、仙台市長、東北大総長
で構成し、自治体との連携を図る。

 具体的には、自治体との人事交流、大学院工学研究科の江刺正喜教授が推進
するMEMS(微小電子機械システム)パークコンソーシアムの推進、経済産業省
傘下の独立行政法人中小企業基盤整備機構基盤による大学連携ビジネスインキュ
ベーション施設(目標床面積1500m2)の設置・運営などを図っていく。地域連
携活動の窓口として、地域連携室を設置する。地域の知の拠点再生担当として、
産学官連携コーディネーターを配置する計画。

 地域連携活動の要であり、今後の東北大の産学連携態勢に大きな影響を与え
ると予想される青葉山新キャンパスでの産学連携プラットフォームとなる「サ
イエンスパーク構想」の狙いについて解説し、同構想に積極的に取り組むと強
調した。現在の工学部や理学部、薬学部がある青葉山キャンパスの隣接地に、
84万m2の新キャンパスを設ける。

 この新キャンパスに、東北大のライフサイエンス・環境の総合研究拠点とな
る集合研究所などの大学所有施設を設けると同時に、組織的な共同研究の相手
企業などの研究拠点などを誘致するサイエンスパークとする計画。2009年度ご
ろには企業10社程度が研究拠点などを設けるように、売り込んでいく計画であ
る。

 産学官連携の国際化を目指し、北米西海岸地区に東北大学米国代表事務所を
2006年4月に設ける。知的財産などの専門家の弁護士や弁理士など4人の実務者
が常駐する計画。東北大が産み出した研究成果や知的財産などを米国や欧州に
発信する拠点とする。当面の担当地域は米国中心だが、将来は欧州も担当する
予定。事務所の有力候補地はカリフォルニア州パロアウトのもよう。(丸山
正明=産学連携事務局編集委員)