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『毎日新聞』西部夕刊 2006年1月27日付

九州大:直接移転、断念も 文科省難色、概算要求に盛り込めず


 九州大(梶山千里学長)が六本松キャンパス(福岡市中央区)の移転計画を
変更し、伊都キャンパス(同市西区)への直接移転を検討している問題で、文
部科学省が直接移転に難色を示したため、九大が06年度予算の概算要求に計
画変更を盛り込めなかったことが分かった。九大は07年度予算で再度要求す
るが、再び難色を示されれば計画変更を断念する意向だ。

 九大は、08〜11年度に予定する六本松の学生・教職員移転計画を変更し、
箱崎キャンパス(同市東区)を経由せず、伊都に直接移転する案を検討してい
る。移転資金は六本松跡地を担保に金融機関から調達し、返済を国に一時肩代
わりしてもらう枠組みを想定していた。

 昨春、06年度予算に移転計画変更を盛り込もうと文科省に打診したが、同
省は「国の交付金を返済に当て込んだ計画は認められない」と回答。九大は
「土地処分は既に決まっており、土地売却益が入れば、肩代わり分を返すこと
もできる」としたが、前例がないなどの理由で、計画変更を盛り込むことを断
念した。

 六本松跡地には、裁判所や検察庁、弁護士会館など司法機関を集中させる構
想があり、福岡市や地元住民もこれを前提とした街づくり計画を進めている。
九大の移転計画変更が実現すれば、構想にも影響を与えかねず、市は「街づく
りのマイナスになる」と強く懸念している。

 有川節夫・九大副学長は「07年度に再度挑戦したいが、それでもだめなら、
六本松跡地利用計画にも支障が出かねない。その時は(計画変更そのものを)
断念することになるだろう」と述べた。【山本泰久、安達一成】