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nikkeibp.jp 2006年1月26日付

経産省、大学や大学発ベンチャーでの営業秘密管理の必要性を解説


 経済産業省産業技術環境局大学連携推進課は、特許庁傘下の独立行政法人工
業所有権情報・研修館が2006年1月23日から25日までの3日間にわたって東京都
港区で開催した「国際特許流通セミナー2006」の中で、大学や大学発ベンチャー
企業が不正競争防止法に対する営業秘密管理体制を十分に構築する必要性を解
説した。

 同セミナーのセッション「大学発ベンチャー企業のリスク管理」のパネリス
トとして講演した中西宏典課長が解説した。

 不正競争防止法の営業秘密管理指針が平成17年(2005年)10月12日に改訂さ
れ、営業秘密の管理体制を企業などの各組織が遵守することを求められている。
大学や大学発ベンチャー企業も当然、その対応が必要になる。営業秘密とは、
客観的に秘密として管理されている情報で、事業などに役立つ有用性を持ち、
管理されており一般的に入手できない非公知性が守られている情報である。

 営業秘密の保護強化の主な点は、(1)日本国内で管理されている営業秘密に対
して、日本国外で使用・開示した者に対しても処罰の対象とした(従来は国内
で使用・開示した者だけだった)、(2)元役員・元従業者に在職中に働きかけ、
退職者後に営業秘密を不正使用・開示したケースを処罰対象とした、(3)営業
秘密へのアクセス権がない者が営業秘密侵害罪の犯人となった場合に、その犯
人が所属する法人を処罰する、(4)罰則の見直し――などである。

 大学は営業秘密の保護強化に対して(1)大学単独で保有する情報と、企業など
の外部組織と共有する情報を十分に分けて管理する体制を築く。大学単独保有
の情報管理体制は、秘密管理する情報とそうでない情報を区分し管理する、
(2)アクセス権を制限・管理する、(3)教員・職員や学生に秘密情報の管理方
法を周知徹底する、(4)法人組織として管理方針をつくり、実施する、(5)
大学・大学院と雇用関係にない学生への対応策を定める。学生がアクセス・利
用できる情報を特定する――などが重要になるという。

 企業などの外部組織と共有する情報に対する秘密守秘義務契約に違反したと
して、契約に基づく損害賠償責任を負ったり、法人処罰で告発されないように、
営業秘密情報管理することが求められる。大学と産学連携する企業は、お互い
の立場を尊重し、秘密情報の関知体制について、予め合意しておくことが重要
になる。

 大学発ベンチャー企業が創業前後のビジネスプランづくりや市場予測、資金
獲得などを行うには、大学外部の支援者などに秘密情報を開示することが増え
る。情報を区分し、コアとなる技術情報は特許出願したり、秘密保持契約を結
ぶなどの工夫が重要になると指摘した。(丸山 正明=産学連携事務局編集委
員)