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知財情報局 2006年1月24日付

国立大学の産学連携と公的研究機関等の産業への寄与

〜研究面での着実な拡大を確認・科技政策研が報告書〜

 科学技術政策研究所はこのほど、法人化前10年に国立大学が進めた産学連
携および公的な研究活動などの産業界への寄与を客観的に示す調査資料『国立
大学の産学連携:共同研究と受託研究』を公表した。共同研究は90年代後半
から急増し、受託研究でも95年以降、増大傾向にあった。共同研究の件数は
92年に比べ02年で5倍。ライフサイエンス分野での伸びが著しいことも分
かった。

 まず、国立大学の共同研究の相手の8割までが民間企業だったことが確認さ
れた。また受託研究で民間企業と組む割合が2割にとどまっており、民間企業
は受託研究よりむしろ共同研究を通じた産学連携を期待していることも分かっ
た。これは、民間企業が自前で基礎研究までを範囲にできなくなったことが背
景にあると見られるという。

 さらに、大企業41社に属する重要な発明者(企業の知的財産部が選定)3
24名を対象にしたアンケート調査からは、所属企業で実用化された重要特許
の発明に公的機関が何らかの貢献をしたと回答した者が約8割だった。共同研
究による直接の寄与とともに、「基礎研究成果が発明のヒントになった」「ディ
スカッション等が役立った」など間接的な寄与も認められ、公的機関の研究以
外の様々な寄与も、企業から期待されていることも分かった。

 このほか、医薬品などライフサイエンス分野での共同研究が急増しているも
のの、研究での直接の寄与が少ない現状も分かり、今後の実質的な協力強化が
必要なことも分かったという。