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『北陸中日新聞』2006年1月24日付

新年度は最低の20人 研修医が金大離れ

学内出身7人 学生『手術機会少なそう』


 金沢大病院(金沢市宝町)で二〇〇六年度から初期臨床研修を受ける新人医
師は、研修制度が始まった〇四年度以降で最少となる二十人で、うち金大出身
は七人にとどまる見通しになることが分かった。医学部では三月に八十九人が
卒業する見込みだが、二年間の研修を終えた後に、北陸で勤務する医師の減少
にもつながりかねず、病院関係者は懸念している。 (報道部・片山健生)

 金沢大病院の臨床研修医は〇四年度が定員九十二人に対し五十四人(うち金
大出身三十五人)、〇五年度は定員八十四人に三十八人(同十八人)と減少を
続けていた。

 〇六年四月から、同病院外研修で行く協力病院などを明示してコース設定す
るなど、研修医の満足度を高める工夫を凝らしたが、希望者数はさらに減少。
定員を四十人と絞ったため充足率だけは50%と前年をかろうじて上回った。

 減り続ける理由として、金大は▽大学病院以外で臨床研修医を独自に受け入
れる医療機関が増えている▽幅広く、一般的な病気を診る機会が大学病院より
多い市中病院が好まれている▽新制度の下で出身大学にとらわれない選考が行
われている−と分析する。

 卒後臨床研修センター長の小泉順二教授は「大学病院内の働き手が減り、地
方病院へ医師を派遣することがますます難しくなる。大学で基礎研究をする医
師も減っていくのでは、との危惧(きぐ)もある」と話す。

 研修先を関西地方の市中病院を選んだ男子学生(27)は「大学では手術を
させてもらえる機会が少ないだろうし、実家が関西で、漠然とした地元志向も
あった」と理由を明かす。志望する診療科を決めており、将来的に有利として
金沢大を選択した広島県出身の男子学生(25)は「(母校を選択する学生が)
予想より少なく驚き。母校のことはよく知っている分、いやな部分が他の医療
機関に比べて目につくためではないか」とみている。

 ◇初期臨床研修◇ 医師法が改正され、国家試験に合格した新人医師に2年
間の研修が義務化された。基本的な診療能力を学び、医師としての資質を向上
させるのが狙い。内科、外科、救急・麻酔、小児科、精神科などを指導医から
習得する。これまでは大学病院の医局に入ったため、「専門以外の病気が診察
できない」などの批判があった。