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ロイター配信記事 2006年1月20日付

行革推進法案を国会に提出、成立目指す=小泉首相


 [東京 20日 ロイター] 小泉首相は、20日に召集された第164回
通常国会の施政方針演説で、政府の資産・債務管理の見直しなどの基本方針を
盛り込んだ行政改革推進法案を今国会に提出し、成立を目指す考えを示した。
また、国民的な議論を深めながら、消費税や所得税など税体系の見直しを行う
としている。

 小泉首相は施政方針演説の冒頭で、小泉内閣の構造改革路線の正当性をあら
ためて強調。郵政民営化の実現を弾みとして改革路線を続行し、簡素で効率的
な政府を実現すると訴えた。その後、行政改革、経済の活性化、暮らしの安心
の確保、国民の安全の確保、「人間力」の向上と発揮、将来の発展基盤の整備、
外交・安全保障に言及。

 字数は9200字で、前回の第162回通常国会の施政方針演説(1万10
00字)より短い。前回の施政方針演説では「日銀と一体となってデフレを克
服する」としていたが、今回の演説ではデフレ脱却に言及していない。

 行政改革については、国・地方を通じた公務員の総人件費削減、政府系金融
機関や独立行政法人などの改革、政府の資産・債務管理の見直し、特別会計の
整理合理化は避けて通れないとし、これらの改革の基本方針を定めた行政改革
推進法案を今国会に提出し、成立をさせたいとした。

 このうち政府系金融機関の改革については、民業補完の原則を徹底し、残す
べき機能は中小零細企業や個人の資金調達支援、重要な海外資源の獲得や国際
競争力の確保に不可欠な金融、円借款の3分野に限定し、8機関の統廃合や完
全民営化を実現する、としている。また、道路特定財源に関して現行の税率を
維持しつつ、一般財源化を前提に見直すことを明言した。

 歳出・歳入を一体とした財政構造改革の方向について選択肢や工程を明らか
にし、改革路線を揺るぎないものにする考えも盛り込んだ。また公正で活力あ
る社会にふさわしい税制の実現に向け、国民的な議論を深めながら消費税、所
得税、法人税、資産税など税体系全体にわたってあらゆる角度から見直しを行
うと強調した。

 経済の活性化では、主要行の不良債権残高がこの3年半で20兆円減少し、
金融システムの安定化が実現した現在、「貯蓄から投資へ」の流れを進め、国
民が多様な金融商品やサービスを安心して利用できるよう法制度を整備する、
と指摘。

 暮らしの安心の確保については、社会保障制度を将来にわたり揺るぎないも
のとしていくため、給付と負担のあり方などを含めて制度全般を見直し、年金、
介護に続き、医療制度の改革を進めるとした。国民の安全の確保では、マンショ
ンなどの耐震強度偽装事件に関連し、実態を把握しながら、書類の偽造を見抜
けなかった検査制度を点検し、再発防止と耐震化の促進に全力を挙げる方針を
示した。

 一方、外交では、中国や韓国との交流が盛んになっていると強調したうえで、
一部の問題で意見の相違や対立があっても、両国は大事な隣国で、大局的な視
点から協力を強化し、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築くと言明
した。

 最後に、「志士は溝(こう)がくに在るを忘れず」(志を遂げるためにはい
かなる困難をもいとわないとの心構え)との言葉を紹介し、残された任期に一
身を投げ出し、内閣総理大臣の職責を果たすべく全力を尽くす決意だ、と締め
た。