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『東奥日報』2006年1月12日付

弘大の白神研究に国が特別経費


 弘前大学が目指す世界自然遺産白神山地の多方面にわたる研究が、二〇〇六
年度から文部科学省の特別教育研究経費の認可を受け、五カ年計画でスタート
することになった。〇六年度は国の予算案に千二百万円が計上された。テーマ
は「世界遺産・白神山地生態系の総合的研究」。白神山地の地形や地質、土壌、
大気、水などを農学生命科学部や理工学部の教官七人が中心となって、国内外
への発信に向けて研究を展開する。

 十一日の定例会見で、遠藤正彦学長が明らかにした。

 特別教育研究経費は国立大学の間で、特色や個性を生かした大学改革を推進
させるために配分される。これまで弘大の白神研究の財源は、学内の補助金や
研究者個人に配分される研究費が中心だっただけに、農学生命科学部の牧田肇
教授は「国が弘大を白神研究の拠点として、認めたということ。白神山地の情
報を、日本や世界の研究者に提供していきたい」と意気込む。

 牧田教授によると、初年度となる〇六年度の研究計画は大きく二本柱で構成。
一つは「遺伝子」がテーマ。白神山地のブナの遺伝的性質を、国内各地のブナ
林と対比するほか、食用や薬用の植物からの遺伝子特定も行う。

 もう一つの柱は白神山地の地滑りで作られた地形や土壌を測量し、当時の地
質や植生などを分析しようというものだ。

 来年度以降は、ブナ林での二酸化炭素や水蒸気の収支を定量的に調査。地球
的な規模で、白神山地が、どれだけ二酸化炭素を吸収しているか確かめるとい
う。