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『西日本新聞』2006年1月6日付

六本松キャンパス 伊都移転前倒し 箱崎経由案は回避 民間から資金調達
経費10億円節減 九大が検討


 二〇〇五年十月に開校した伊都キャンパス(福岡市西区など)への移転を進
める九州大が、六本松キャンパス(同市中央区)の伊都地区への移転時期の前
倒しを検討していることが、六日分かった。現行計画では、移転費用調達のめ
どが付かないため、六本松地区は〇八年度に箱崎キャンパス(同市東区)に一
時移した後、一七年度に伊都地区へ移転することになっている。前倒しが実現
すれば移転時期が約九年早まり、十億円程度の経費を削減することができる。

 九大は六本松地区の土地を担保に金融機関から融資を受け、国の予算化が当
面見込めない伊都地区の教育施設建設費などに充てる考えで、文部科学省と協
議中。最終的には全額、国が負担するが、同大が一時肩代わりすることで移転
時期が早まることになる。

 九大は〇四年、当初〇五年から十年間程度としていた移転期間を十五年間に
延長した。この際、教職員、学生約四千百人が利用する六本松地区については、
伊都地区での施設建設費にめどが立たないことなどから、いったん箱崎地区へ
移転。先に伊都地区に移転を終える工学部の施設を改築し、その後、伊都地区
へ移転することにした。

 しかし、箱崎地区を経由すると(1)二回になる引っ越し費用と工学部施設
の改築費用に十億円程度かかる(2)キャンパス分散により学生が一貫した教
育を受けられない―などの問題が発生。法人化した以上、費用削減など経営努
力も問われるため、伊都地区への直接移転案が浮上した。

 九大は六本松の土地を担保に施設建設資金を調達し、土地売却益で返済する
案を文部科学省に打診。金融機関とも協議を始めた。同省によると、国立大が
保有財産を担保に金融機関から融資を受けるには文科相の認可が必要。移転目
的で融資を受けた例はないという。

 同省は直接移転による経費削減効果を認めたうえで、「借りた資金の返済方
法を九大が明確に提示すれば、現行計画には固執しない」(文教施設企画部)
としている。

 梶山千里学長は、国との協議を踏まえたうえで「〇五年度中には方針を決め
たい」としている。