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『静岡新聞』2006年1月8日付

浜医大病院が連携


 浜松医科大病院(中村達院長、浜松市半田山)が県内の自治体病院など50
の地域医療機関と連携して「県中長期医師教育支援協会」を設立したことが7
日分かった。深刻な医師不足や地域間の医師偏在に対応して、医師を県内に根
付かせ、医療の質向上を目指す。浜松医大病院を拠点に、それぞれの病院と人
的交流を図り、若手の医師らがチーム医療に参加できるよう専門医教育の支援
を行っていく。

 県内自治体病院の多くが東大、京大、名大、慶応大などから医師の派遣を受
けてきた。新研修医制度スタートで大学病院の医師不足が生じたため、関連病
院の見直しを行い、各大学は遠い地域となる県内自治体病院から医師を引き揚
げている。

 また、開学して30年になる浜松医大出身者らも県内ではなく、大都心圏の
大学や病院に移る傾向が目立つ。さらに、労働条件が厳しい病院勤務から開業
に転じる医師が増えている。いくつかの複合的な事情から、現在の深刻な医師
の不足を招いている、という。

 浜松医大病院には若手医師の派遣を要請する自治体病院からの要望が数多く
寄せられているが、このままでは対応できず、新たな体制を自治体病院などと
連携して取ることで各病院長らと協議を重ねてきた。

 医師不足を招いた新研修医制度を2年間で終える若手医師は、大学病院など
で3年から5年の後期研修に入り、内科、外科などの専門医の道を目指す。若
手医師らの将来設計を考え、県内でキャリアを積み、病院の中核として働くこ
とができるよう支援していく。

 具体的には病院の医師引き揚げ、急な欠員発生などで初期研修が不能になっ
た場合、浜松医大病院で引き受ける。後期研修での支援、その後の5年後、1
0年後を踏まえて各医師ごとに留学、大学院、拠点病院での研修など地域医療
機関の医師循環システム、全診療科での新しいネットワークをつくる。

 同協会事務局は浜松医大病院臨床研修センター内に置き、会長に中村院長が
就いた。県立総合病院、県西部浜松医療センター、聖隷三方原病院、富士宮市
立病院などほとんどの病院が参加。中村院長は「各病院と連携して情報提供を
行い、地域医療間の医師循環システムを構築して、医師不足、医療の質向上に
つなげる」と話している。