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『科学新聞』2005年12月23日付

投資目標25兆円に決定
科技、財務両大臣会議で


 第3期科学技術基本計画の投資目標が25兆円になることが決まった。松田岩
夫科学技術政策担当大臣と谷垣禎一財務大臣が16日の閣議前に会談し、その結
果を小泉総理に報告、了承された。松田大臣は閣議後の記者会見で「国家の姿
勢として科学技術創造立国を目指すのだということを内外に示すことができた」
と語った。27日の総合科学技術会議で、基本計画の骨子となる「科学技術に関
する基本政策」が総理に答申され、これを受け政府は3月末までに基本計画を
閣議決定する。

 第3期基本計画の骨子となる「科学技術に関する基本政策」は、今月11日ま
でパブリックコメントが行われていたが、その本文の投資目標の項目は「検討
中」とあるだけだった。財務省が投資目標を書き込むこと自体に反対していた
ためだ。

 一方、自民党の科学技術創造立国調査会は7月と今月に投資目標を26兆円に
すべきとの決議を出し、同様の要望を経団連も出していた。しかし、行政改革
によって官邸主導の政治プロセスが確立してきたことから、自民党と財務省で
決めるわけにはいかなくなった。

 ではどうやって決めるのか、プロセスが明確になったのは先月24日の総合科
学技術会議。小泉総理は「科学技術予算は数少ない増やすべき分野。科技大臣
と財務大臣は、よく折衝して欲しい」と指示した。

 実は今回のトップ会談は2回目。最初の会談では数値目標の設定そのもので
両大臣とも譲らず、物別れに終わっていた。今月はじめからほぼ毎日、事務レ
ベルでの折衝が行われていたが、両大臣のトップ会談はなかなか実現せず、よ
うやく14日、財務省内部で第2回目の会談をセットし、数値目標を設定するこ
とに合意した。

 16日の閣議が始まる20分前、松田大臣と谷垣財務相が官邸で2人きりで会談。
政府研究開発投資の総額規模を約25兆円とすることで合意。ただし、名目GD
Pの平均成長率が3.1%となることを前提とした。

 谷垣財務相は25兆円には同意したものの「成果目標の設定、評価の仕組みの
確立、研究費配分の無駄の排除などの諸改革を徹底的に実行し、投資効果を最
大限高める」ことを求め、松田大臣も合意した。

 今回の合意について松田大臣は「旗印を掲げることができたのは、関係の皆
さんの努力のおかげ。奥田経団連会長やノーベル賞受賞者の方々などが、財務
大臣だけでなく財務省幹部にも数値目標の必要性を説いてくれた。27日の答申
には数字とともにGDP1%の目標を書き込む」と話す。

 谷垣財務相は「わが国の大学が世界に開かれた大学となり、海外のトップレ
ベルの学生や研究者と混ざることで、世界の多様性の中でも生き残っていく力
を備えた大学へと生まれ変わって行くための改革が必要。政府研究開発投資が
本当の意味での生きた投資となるような取り組みを行っていただき、グローバ
リゼーションの流れの中で、魅力ある日本を作っていく原動力になることを期
待している」と閣議後の会見で述べた。

 自民党で26兆円を決議した尾身幸次衆議院議員は「26兆円と決議したわけだ
が、字を入れないよりも、最終年度でGDP1%にすることを前提にして、再
三事務当局と数字を詰めた結果、25兆円になった」としている。