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『熊本日日新聞』2006年1月5日付

「教職大学院」 熊本大、不登校対応で来春開校へ準備


 熊本大(崎元達郎学長)が不登校の子どもたちに対応できる教員を主に養成
する「教職大学院」を、二〇〇七(平成十九)年四月に開校する方向で準備を
進めていることが四日分かった。同大によると、社会問題化している不登校を
テーマにした教職大学院の設立は「全国的にもまれ」で、今後の展開が注目さ
れる。

 教職大学院は教員の資質向上などを目的に、中央教育審議会が〇七年四月に
開校できるよう検討しており、全国の大学で準備が進められている。学生のほ
か現職教員も対象に、より高度な専門的職業能力を養成する教育を行う。修了
者には専門職学位の「教職修士」が与えられる。

 熊大教育学部によると、教職大学院の定員は三十人程度とし、そのうち半数
超は現職教員枠に充てる。指導する教員は十一〜十三人で、うち四割程度は校
長経験者など実務経験者を起用したい考え。修業期間は原則二年だが、現職教
員は一年とする予定だ。

 教育内容は、不登校や学級崩壊など学校現場での課題への対処能力を養成す
るため、生徒指導や生活指導、学級運営についてのカリキュラムに重点を置く。
特に不登校への対応能力養成カリキュラムは、文部科学省の〇五年度「大学・
大学院における教員養成推進プログラム」に選ばれた同大の「不登校の改善・
解決に資する教育力の養成プロジェクト」を基にする方針。

 同プロジェクトは、同大教育学部が〇二年度から熊本市教委と連携して実施
している「ユア・フレンド事業」がベース。同事業では、学生ボランティアが
不登校児童・生徒の家庭を訪問するなどして成果を挙げている。教職大学院の
カリキュラムでは、同事業のノウハウに臨床心理学などの医学的アプローチを
加えた上で、小中学校や不登校支援施設、保護者などと連携しながら、理論と
実践の両面を系統立てて学んでいく。

 石原昌一・同大教育学部長は「地域の学校のリーダーとして、不登校など現
代的な教育課題を解決できる教員を養成したい。県教委や市町村教委、学校現
場の協力が不可欠となるので、これから具体的な協議を進めていく」と話して
いる。(野田一春)