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『中日新聞』石川版 2006年1月3日付

県立大研と連結 設備を一体活用
石川4大学連携 起業家育成施設
全国初 高度な研究可能に


 石川県立大(石川県野々市町)に七月に開設される中小企業基盤整備機構の
起業家インキュベーション(ふ化=育成)施設を敷地内で隣接する同大生物資
源工学研究所と渡り廊下で結んだ上、施設入居企業が同大と作成する運用規則
に基づき、研究所の設備を機動的に活用することになった。全国で整備が進む
同様の施設で、研究所などと一体的な活用が可能になるのは初めて。日本海側
で唯一、複数の大学が連携支援する施設でもあり、起業拠点としての役割が期
待される。 (報道部・中島健二)

 「石川4大学連携型起業家育成施設」(仮称)として一月から建設が始まる
同施設は、三階建て延べ二千三百五十平方メートル。貸しオフィスや実験室、
商談室などを設ける。入居企業は、隣接する研究所内にある植物遺伝子工学や
環境生物工学、DNA分析技術などの設備を必要に応じて使えるようにする。

 主にバイオ系や食品系の研究開発に取り組む企業が入居。県立大、金沢大、
北陸先端科学技術大学院大、金沢工大が連携、石川県などとともに運営の支援、
協力を行う。

 四大学は入居企業と共同研究などを展開。各大学の医学・薬学、材料科学、
生物資源などの研究成果を活用し事業化を進める。例えば特産農産物による健
康食品や機能性化粧品などの新たな起業、新規事業開発などを目指す。

 これらの連携の企画、仲介役として、施設にはインキュベーション・マネ
ジャーが常駐する。

 経済産業省系の独立行政法人「中小企業基盤整備機構」は既に関東、名古屋、
関西、九州で、同様の施設を五カ所に開設。年度内には、さらに三カ所がオー
プンする。石川県の施設は本州の日本海側で初めてで、地元の複数大学と連携
するのは名古屋に次いで二カ所目。前例のない大学研究所との連結活用により、
一層高度な共同研究などができるとみられる。

 石川県は昨年三月に策定した産業革新戦略の柱に連携新産業創造や次世代型
企業育成を据え、この施設をバイオ・食品分野での産学連携中核拠点として重
視。入居企業の募集に向け、企業対象のセミナーや研究会開催に力を入れる。