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『日刊県民福井』2005年12月25日付

ベンチャー企業2社誕生
福井大発


 教官が経営陣に加わった県内初の「大学発ベンチャー企業」が2社、福井大
(児嶋眞平学長)で誕生した。両社ともオンリーワン技術を生かした事業を計
画しており、大学で培われた“知の結晶”と人材が、産業界に新しい風を吹き
込む。 (尾嶋 隆宏)

 創業したのは大学院工学研究科の堀照夫教授が専務に名前を連ねるシーオー
ツーテクノ(福井市大手3丁目、高島和夫社長)と、医学部の藤井豊・助教授
が取締役に入った福井ウルテック(越前市矢放町、上田昌範社長)。同大が1
1月に教官の兼業許可を決定したことで、相次いで誕生した。

 シーオーツーテクノは、アラミド繊維を銅メッキ加工で超軽量電線に“変身”
させる技術を保有しており、この電線を市場に送り出す。アラミドへのメッキ
加工は、堀教授が長年研究してきた超臨界状態の二酸化炭素を溶媒にした染色
法を応用した。

 実際の商品開発は、巨額な設備負担を回避するため、大手企業数社と連携し
て進める予定。堀教授は「重さは通常電線の10分の1。自動車産業で需要が
あると思う」と自信をのぞかせている。

 一方の福井ウルテックは、「分子模型キット」を教材用に製造・販売する。
原子に見立てた発泡スチロール球同士をつまようじで結合させながら製作する
分子模型は、球のどの位置に結合穴を開けるかが重要。藤井助教授が開発した
セロハン製「ポインター」を球に当てると、穴あけ位置を示してくれるため、
「複雑な形状の遺伝子模型も簡単に作れる」(藤井助教授)という。

 キットは来夏にも売り出す予定。商品は1000円前後からとし、他社商品
より廉価で提供する。藤井助教授は「県内の中学、高校で使ってもらい、子ど
もの理科離れを食い止められたら…」と話している。児嶋学長は「地域の産業、
社会にインパクトを与えられる大学発ベンチャーをどしどし出していく」と語
り、年度内にあと5、6件誕生させるとしている。