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『福井新聞』2005年12月22日付

大学発ベンチャー起業支援へ連携 福井大とふくい産業支援センター


 福井大とふくい産業支援センターは二十一日、同大発ベンチャー企業の創業
促進に向け、連携を強化する協定を締結した。同センターは起業ノウハウなど
をアドバイスするほか、起業後の販路開拓などにも協力する。創業促進の第一
陣として同日、教員らがベンチャー企業二社を立ち上げた。

 同センターは中小企業金融公庫福井支店と既に連携しているが、大学とは初
の連携となる。具体的には、センター側が学生や教員向けの創業セミナーを開
催、事業計画を指導する。創業後の販路開拓や民間投資ファンドとのコーディ
ネートも行う。また相互に連携窓口を設置、担当者を配置する。

 文京キャンパスで行われた締結調印式で児嶋眞平学長は「センターの力を得
て、大学発ベンチャーをしっかりと立ち上げていく」と決意を述べた。協定期
間は同日から一年間。双方の合意で延長できる。

 教員発ベンチャーとして初のケースとなる二社は、繊維関連企業を中心に繊
維やプラスチック加工ノウハウを提供する「シーオーツーテクノ」(本社福井
市大手三丁目、高島和夫社長)と、理科の授業用分子模型を製造販売する「福
井ウルテック」(同越前市矢放町、上田昌範社長)。それぞれ堀照夫・大学院
工学研究科教授と藤井豊・医学部助教授の特許を活用、両教員が役員となり事
業を展開する。

 福井ウルテックが製造販売するのは理科や化学の授業向けの分子模型教材。
安価な発泡スチロールとつまようじ、独自に開発したポインターと呼ぶ結合計
測器具を使用、「理科離れがいわれる中で、自由に組み立てられ達成感が味わ
える」(藤井助教授)のが特徴。来夏をめどに販売を開始。今後一年間で約三
百万円の販売を目指している。

 シーオーツーテクノが扱うのは、液体と気体の中間状態の「超臨界二酸化炭
素」を使った特殊な加工技術。これまで加工が難しかった繊維やプラスチック
素材にも染色やメッキ、発泡などの機能性加工ができるという。

 同大は起業参画に伴い、これまで認められていなかった教員の兼職について、
十一月に独自規定を策定。「本業の研究にあまり影響を与えないよう」(児嶋
学長)、週十時間以内という条件でビジネスが認められる。