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『朝日新聞』2005年12月21日付

阪大と大阪外大が統合へ 大外大は外国語学部に


 大阪大(大阪府吹田市)と大阪外国語大(同府箕面市)が、07年10月に
統合する方針であることが21日わかった。06年3月に基本合意を交わす予
定で、統合後の名称は大阪大学となる。25の専攻外国語を持つ大阪外大の特
色を生かし、文系領域を強化する。旧帝大の統合は九州大・九州芸術工科大に
次ぎ2例目。学生数は計約2万5000人になる見込みで、国立大の統合では
最大規模となる。

 大阪外大のキャンパスは大阪大外国語学部になる。国立の外国語大は東京外
国語大だけになる。

 大阪外大は専攻・研究外国語、方言などの関連語を含め62言語。とくにス
ワヒリ語、スウェーデン語、デンマーク語、ハンガリー語などの専攻語がある
のが大阪外大の特徴で、少数民族の言語も17ある。しかし、国の交付金が年々
減り、多言語教育の維持が難しくなっていた。統合で学生数が5倍に増え、
「幅広い言語教育を維持できる」と判断した。

 大阪大も「専門性の高い大阪外大の外国語や国際文化研究の領域を取り入れ
ることで、文系分野に幅が出る」と評価。両大学は昨年5月から協議を続けて
きた。

 大阪外大は国際文化や地域文化の研究分野も持つため、統合後に外国語学部
以外に国際系の学部新設をめざしたが、文部科学省が難色を示したため断念。
この分野は大学院に地域研究の領域を設けることを検討。国際的な研究の横の
つながりやボランティア育成に向けた「国際協力連携センター(仮称)」の設
立をめざしている。

 大阪大の橋本日出男理事は「アラビア語ができてイスラム文化を語り、スワ
ヒリ語が堪能でアフリカの貧困を学ぶ人材を育てるような環境をつくりたい」。
大阪外大の松田武副学長は「社会科学の講義の選択の幅が広がり、将来のキャ
リアの選択肢も広がるだろう」と話している。