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nikkeibp.jp 2005年12月20日付

経団連、産学官連携によるイノベーション創出に向けた見解を公表


 社団法人日本経済団体連合会の産業技術委員会は2005年12月13日に取りまと
めた「イノベーションの創出に向けた産業界の見解」を、内閣府の総合科学技
術会議が12月19日に開催した第5回「イノベーター日本」勉強会の中の説明とし
て公開した。同見解は、総合科学技術会議が中心になって作成している第三期
科学技術基本計画に向けた産業界の意見として取りまとめたもの。

 同見解の骨子は三つの提言からなる。提言1の「イノベーションの種の創出に
あたって、将来の経済社会を見据えるべき」は、イノベーションの最大の担い
手は大学であるが、産業界(企業)も知の相互作用に積極的に協力することが
必要とする。具体的には、経団連が以前から提案している「先端技術融合型
COE(センター・オブ・エクセレンス)」を、融合技術領域に有能な人材を集結
する拠点として産学官で大学などに形成する。

 先端技術融合型COEは学と産の知の相互作用によって、先端技術のメカニズム
を科学的に解明する。同COEは文部科学省の科学技術振興調整費の戦略的研究拠
点育成プログラム(通称、スーパーCOE)の後継COEプログラムとして実施され
ることが検討されているもの。

 提言2の「イノベーションの種の育成は、市場環境整備と一体で進めるべき」
は、スピード感のあるイノベーション実現に向けたトップランナー企業による
ナショナルプロジェクトの推進を求める。この場合に、研究開発と国際標準化、
知的財産政策の三つを一体的に推進することが重要とする。同プロジェクトで
は初期需要の創出を積極的な政府調達によって実施することを提案する。

 提言3の「イノベーションの種の創出と、種の育成をつなぐ仕組みを設け、イ
ノベーションを加速すべき」は、文部科学省が育てたシーズ(研究成果による
技術シーズ)を、経済産業省が引き継いで育成し、さらに国土省や総務省など
の“ユーザー府省”が事業化を進めると、行政府が連携してイノベーションを
支えることの必要性を訴える。このためには、各府省間でイノベーションの成
果目標やシナリオを共有することが必要条件になると指摘する。

 イノベーションを担う人材育成では、異分野融合に加えて、ソフトウエア開
発力などを含んだシステム構築力を持つ人材を育成することが必要になる。イ
ノベーションの種を創出する「フェーズ1」と、イノベーションの種を育成する
「フェーズ2」が相互に影響し合うことが不可欠になる。

 2006年度から5年間実施される第三期科学技術基本計画は、5年間の政府によ
る研究開発投資目標額が25兆円と、2001年度から2005年度までの第二期の24兆
円を上回る目標学が明記され、政府の科学技術政策重視によってイノベーショ
ンを支援する見通しである。(丸山 正明=産学連携事務局編集委員)