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『日刊工業新聞』2005年12月6日付

山口TLO、複数校に連携人材を供給−即戦力化で人件費抑制


 山口大学の技術移転機関(TLO)、山口ティー・エル・オー(山口県宇部
市、三分一(さんぶいち)政男社長、0836・22・9768)は産学連携
の若手育成法を活用し、複数大学への連携人材供給を始めた。新エネルギー・
産業技術総合開発機構(NEDO)の派遣が05年度に終わる博士研究員ら3
人が各2件程度の技術移転実績が評価され、3大学の知的財産本部などに採用
された。 人件費抑制のため、早期に戦力化し、活用した後は外部に就職させる
同TLOの方針が、人材不足で苦労する他大学のニーズにマッチした。 また、
特許マップ作成で学生を教育・活用する効果も浸透し、佐賀大、大分大からも
学生が参加するようになった。

 NEDOはTLOや知財本部などでオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJ
T)を受ける若手の人件費を3年間負担するNEDOフェローシップ事業を手
掛けている。 事業終了後に、受け入れ機関がフェローを直接雇用に切り替える
ことが多いが、山口TLOは外に出す前提で対象者の実務参加に力点を置く。

 今年度までの1期生はすでに京都大、香川大に引き抜かれ、もう1人も山口
大の雇用が決まった。 古川浩平取締役は「大学研究室で4年生は教える一方だ
が、修士1、2年で戦力となった後、学外へ就職するのと同じ」とし、2期生
3人も同様に育てる。

 一方、学部4年生には特許検索・マップ作成の講習をし、TLOが重視する
大学特許の支援をアルバイトで行ってもらっている。 3年間で約20人が戦力
化し、山口大工学部学生のほか、理学部や他大学の参加に広がった。 さらに、
弁理士にTLO経営能力を付けさせる教育も実施中だ。

 山口TLOは出資や人材で自治体・企業の支援を受けず、山口大の教員中心
の小規模会社型TLO。 人件費を極力抑え、発足2年目の00年度から黒字に
転換、ロイヤルティー収入は05年3月期で1600万円超となる見込みだ。