新首都圏ネットワーク
  トップへ戻る 以前の記事は、こちらの更新記事履歴

『山梨日日新聞』2005年12月5日付

山梨大「すべての授業を一般に開放」
来年度から試行、生涯学習の拠点に


 山梨大(貫井英明学長)は四日までに、すべての授業を一般市民が受講でき
る「市民開放授業」を実施する方針を固めた。国立大学法人化に伴う自主運営
の一環で、将来的には生涯学習の拠点として地域に開かれた大学を目指す。少
子化に伴って大学間競争が激しくなる中、新たな生き残り戦略としても注目さ
れそうだ。一方、単位取得のために受講する学生との兼ね合いや、休講時の連
絡体制など事務的手続き面でクリアすべき課題が残る。来年度から可能な授業
で試行し、受講状況などをみた上で、本格実施する。

 山梨大教務課によると、これまでも語学などの一部で市民も受講可能な授業
(授業料は週一回受講、半期分で七千二百円)があった。授業以外でも医療技
術や工学研究を教授らが紹介する「公開講座」も開かれ、二○○五年度では市
民が受けられるのは計三十三授業、講座だった。

 医学、工学、教育人間科学の三学部で年間開講している授業科目は計約二千
六百科目に上り、今回の構想では「全授業を開放するのが基本」(同課)のた
め、市民にとっては大幅に「選択科目」が広がることになる。

 ただ学生の受講者が多い授業や器材に限りがある実験授業など、現実的には
開放が難しいとみられる科目も少なからずあるため、各学部との調整も必要と
なりそうだ。

 今月一日に開いた、学内の教授や職員でつくる公開講座検討委員会では、三
学部に開放可能な授業のリストを年内をめどに挙げてもらい、来年度前期は出
された授業科目で試行的に実施することを決めた。

 一般市民の受講は半期が基本で、学生と同じ内容を提供するため、授業料が
必要となる。料金や申し込み方法などは今後詰める。

 一方、課題として(1)市民への事前説明会や試聴期間を設けるかどうかの
検討(2)受講希望の受け付け事務や休講を知らせる連絡手段の確保−などが
挙がっている。

 授業は主に昼間に開講するため、生涯学習的な観点から高齢者などの受講希
望が見込まれる。学生からは「さまざまな年齢の人と机を並べて授業を受ける
のは刺激になるし、負けていられない気持ちになる」(医学部看護学科の女子
学生)などと歓迎する声が出ている。

 同大は「授業が学生と市民の交流の場になることを期待している。将来的に
は専門知識を持った受講者に逆に講義をしてもらうなど、大学授業の新しい形
態を模索していきたい」としている。