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『神戸新聞』2005年11月26日付 受講科目1割満たず 高大連携取り組み3年 高校生の主体的な進路選択や大学のPRを目指し、兵庫県教委と県内十二大 学が進めている「高大連携」で、各大学が県立高校生を対象に開講している授 業の受講が伸び悩んでいる。三年目を迎えた本年度は、二百六十五の開講科目 に対し、高校生の受講は一割に満たないわずか二十三科目。高校の時間割調整 の難しさや、都市部に大学が集中する“地域格差”が弊害となっており、取り 組みの広がりは難航している。(宮本万里子) 高大連携は、二〇〇三年度にスタート。県教委と協定を結んだ大学が開講す る一部の科目を生徒が受講でき、高校の単位として認められる。 初年度は神戸親和女子大、兵庫教育大など七大学が六十一科目を開講したが、 受講は七高校の二十七人で十五科目にとどまった。〇四年度も、九大学が百九 十八科目を設けたが、受講は十一高校の百八人で十七科目と低調だった。 連携地域も、神戸、阪神間などに集中。但馬や淡路など大学がない地域は当 初、インターネットで授業を配信して補う予定だったが、設備を整えるのに費 用がかかり、実現したのは園田女子大だけ。兵庫教育大のように交通の便が悪 く、同じ加東郡社町にある社高校の生徒しか受講できないケースもあり、地域 格差はなかなか埋まらない。 さらに大学側から「連携で入学希望者が増えたわけでもなく、PR効果が実 感しにくい」との疑問や「開講に向けた準備に労力を使う割に活用度が低い」 との指摘も。高校側でも、生徒が受講に行ける時間を確保するのに頭を悩ませ ており、受講者には、柔軟な時間割で学ぶ単位制高校の生徒が目立つという。 こうした現状に、県教委は「大学がない地域の生徒も受講しやすいような環 境づくりに向け、大学側に協力をお願いしていきたい」としている。 |