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新首都圏ネットワーク


nikkeibp.jp 2005年11月22日付

総合科学技術会議、5年間に24兆円投入する第三期科学技術計画を答申へ


 内閣府に設けられた総合科学技術会議は、2005年12月に政府に答申する第三
期科学技術基本計画の策定作業にメドをつけ、パブリックコメントの募集を始
めた。同会議の柘植綾夫議員によると「2006年から2010年までの5年間にわたる
第三期科学技術基本計画では予算として最低24兆円を目指す」と説明した。
2001年から2005年まで実施した第二期の24兆円と同額を最低でも投入すること
を答申する計画である。

 これは、2005年11月21日に独立行政法人産業技術総合研究所が東京都千代田
区で開催した「産業技術戦略シンポジウム 戦略的技術開発と産業技術人材育
成」の講演の中で、柘植議員が明らかにしたもの。

 第三期科学技術基本計画は大まかにいえば、科学と技術によってどんな国を
つくるのかを示すために、政策目標として六つの大目標と一二の中目標を明確
に示す。大目標1は「飛躍知の発見・発明」(中目標は「新しい原理・現象の発
見・解明」「非連続な技術革新の源泉となる知識の創造」)、大目標2は「科学
技術の限界突破」(中目標は「世界最高水準のプロジェクトによる科学技術の
牽引)である。

 大目標3は「環境と経済の両立」(中目標は「地球温暖化・エネルギー問題の
克服」「環境と調和する循環型社会の実現」)、大目標4は「イノベーター日本」
(中目標は「世界を魅了するユビキタスネット社会の実現」「ものづくりナン
バーワン国家の実現」「科学技術により世界を勝ち抜く産業競争力の強化」)
である。ここでいう「ものづくり」とは、ハードウエアとソフトウエア、サー
ビスなど付加価値商品をつくることを意味すると解説する。

 大目標5は「生涯はつらつ生活」(中目標は「国民を悩ます病の克服」「誰も
が元気に暮らせる社会の実現」)、大目標6は「安全が誇りとなる国」(中目標
は「国土と社会の安全確保」「暮らしの安全確保」)である。総合科学技術会
議は、この政策目標の施策展開と説明責任の強化を主導的に指導するという。

 第三期科学技術基本計画の政策目標は、日本が技術立国・知財立国を目指す
には、「イノベーションを起こすための基礎研究マネジメントの改革を求めて
いる」という。大学と各行政府傘下の独立行政法人の研究機関(産総研や理化
学研究所など)は、研究者独自の自由な発想によって多様な学術研究を進め、
その中から目的基礎研究に結び付けるメカニズムを強化する。

 科学と技術が発展することと、イノベーションが連続的につくり出されるこ
とを結合するメカニズムをつくることが重要という。例えば、日本経済団体連
合会が現在提唱している「先端技術融合型COE(Center of Exellence、世界的
に卓越した研究拠点)」も大学、独立行政法人の研究機関、企業の三位一体に
よるイノベーションのプラットフォーム構築を目指すものであると解説した。
(丸山 正明=産学連携事務局編集委員)