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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』新潟版 2005年11月19日付

新大が「魚沼病院」共同設置を提案


 高度救急医療機関の「空白区」になっている魚沼地域に、新潟大学医歯学総
合病院(下条文武院長)が、同病院の分院として「新潟大学魚沼病院」(仮称)
の設置を提案していることが18日までに分かった。魚沼地域は医師不足も深
刻だが、安定した医師供給が期待できるという。病院の経営母体として、県と
地元自治体が出資する財団法人の設立をセットにしており、今後、関係機関と
合意形成を図ることになる。

 基幹病院の整備を進める県は、この提案を有力とみており、病院設置に自治
体と国立大学法人が連携して実現すれば、全国初のケースになる。

 新大病院が示した案によると、大学と財団法人が協定を結び、新大病院の分
院を開く形をとる。分院の医師は新大から出向。県内各地に医師を供給してき
たネットワークを生かして医師確保に努める方針で、地元の医療機関との連携
体制も構築できるとみている。

 また、UターンやIターンなど、全国の大学病院などから様々な診療科の医
師を集めることも視野に入れている。医師の人件費は、財団法人が負担する構
想だ。

 魚沼地域には、高度救急医療や地域医療支援、災害時医療の拠点となる基幹
病院がない。車で最長約2時間かかる長岡赤十字病院がその機能を担っている
現状を、解消する狙いがある。

 さらに分院では、研修医の研修、新大の教授陣による医学部生の指導を行う
ことで、医学部自体の入学定員増も見込んでいる。地域医療を志望する県内高
卒者の定員を、地域枠として確保することを考えている。

 新大医学部の定員は89年に120人から100人に削減された。この時期
から、人口10万人あたりの県内の医師数が全国平均を下回るようになり、昨
年末の179.4人は全国(平均211.7人)で38位だった。

 新大側の案に対し、県幹部は「基幹病院に求められる機能を熟知している病
院側からの提案として、注目している」と受け止めている。地元の井口一郎・
南魚沼市長も「新大との協力関係は住民から大きな信頼を得ることができるの
で、歓迎したい」と話している。