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新首都圏ネットワーク

ロイター配信記事 2005年11月18日付

特別会計、統合や独法化などでほぼ半減を提言=財政審報告書


[東京 18日 ロイター] 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、財政
制度分科会合同部会を開き、特別会計の見直しに関する報告書を了承した。報
告書は、全31特別会計に関し、機能や事業内容に応じて統合の検討などを求
めており、内容が実現するとほぼ半減することになる。 

 今回の報告書は、特別会計改革を議論している経済財政諮問会議に報告する
ほか、政府・与党が年内にまとめる特会改革の骨子のたたき台になる。報告書
では、今後の改革の進め方について、「5年間程度の工程表を作成・公表すべ
き」としている。

 報告書では、特別会計の廃止・統合について、1)国として行う必要性、2)
区分経理の必要性、3)現行区分の必要性――の視点から点検を行った。その
結果、森林保険、国立高度専門医療センター、自動車検査登録などの特会につ
いて民営化や独立行政法人化の検討を求めたほか、登記は一般会計への統合に
よる廃止を提言。厚生保険と国民年金、電源開発促進と石油・エネルギー需給
構造高度化対策、道路整備・治水・港湾・空港整備の公共事業4特会などは、
統合を促している。 

 財政審の議論では、将来的なあり方に関し、「目標設定するような議論はな
かったが、数を減らすべきであるという点では一致した」(財務省幹部)とい
う。報告書の提言どおり、統合や民営化・独法化が実現した場合、特会はほぼ
半減する計算になる。 

 報告書では、道路などの特定財源について、「危機的な財政状況に鑑みれば、
その適否を常に点検し、納税者の理解を得つつ、原則として一般財源化を検討
することが求められる」と指摘。一方、剰余金や積立金に関しては、災害時の
支払い準備など、明確な必要性がないものは、「一般会計への繰り入れなどを
行うことにより、国債残高の抑制を図り、国民負担の軽減につなげていくべき」
と提言している。 

 報告書は、特別会計の歳出規模に関し、単純合計では約412兆円(200
5年度予算)だが、特会制度そのものを切り口とした予算内容の精査では、会
計間の重複計上や、国債償還、地方交付税交付金、財政融資資金、社会保険給
付などを除く残額17兆円程度が出発点になる、と説明。

 人件費・事務費では、「社会保険庁の問題をはじめ、続発する事務費等の無
駄遣いは極めて遺憾」とし、各府省に猛省を促すとともに、予算査定を行う財
務省にも厳しい精査を強く求めた。

 今回の報告書を受け、三菱総合研究所の白石浩介主任研究員は、独法化など
の選択肢が出てきている現状では、「特別会計は、管理の手法としてそろそろ
役割が終わる時期。諸外国との比較でも多く、方向として減らすべき」と指摘
している。