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新首都圏ネットワーク

『毎日新聞』静岡版 2005年11月15日付

医師不足:浜松医大入試に「地域枠を」−−県自治体病院開設者協議会


 ◇「医師確保へ」−−知事に要望書

 県内の医師不足に歯止めをかけようと、自治体病院を所有する市町長で構成
する「県自治体病院開設者協議会」は14日、浜松医科大学の入試に地域枠を
設定するよう求める要望書を石川嘉延知事に提出した。県内出身者を優先的に
入学させ地元出身の医師を養成することで、卒業後も県内で働く医師を増やそ
うという狙いだ。【大楽眞衣子】

 同協議会会長の小嶋善吉・静岡市長ら3市長と自治体病院の院長が県庁を訪
れ、石川知事に対し「卒業生の県外流出に歯止めが利かず、初期臨床研修医は
定員割れの状況と聞き及んでいる」として地域枠の必要性を訴えた要望書を提
出した。石川知事は「ある意味では病院の乱立ではないかとも思う」と述べ、
中長期的な対策の必要性も指摘した。県は今年度中に国に対し、同医大の地域
枠の創設と定員増員を要望する予定だ。

 地域枠の導入は全国的に進んでおり、同協議会が把握している限り、今年度
は信州大、滋賀医大、佐賀大の国立3大学など7大学が地域枠での入試を実施
し、来年度にはさらに12大学が導入を予定しているという。

 同医大では95人の入学定員に対し、毎年30人前後の県内出身者が入学し
ている。同医大の寺尾俊彦学長は、先月の毎日新聞のインタビューで「国立な
のでそう簡単に静岡県出身者だけというわけにはいかない。推薦枠には県出身
者が多く、自己完結でなんとかまかなえると思う」と述べ、地域枠創設には消
極的な姿勢を示した。

 県内の自治体病院では休診する診療科が相次いでおり、相次ぐ産科の休診に
加え、富士市立中央病院では昨年4月から消化器内科が休診、御前崎総合病院
は来年1月までに内科の常勤医全員の撤退が決まっており、内科や小児科、麻
酔科などでも深刻な状態が続いている。