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新首都圏ネットワーク

『北海道新聞』2005年11月12日付

大学病院希望、初の半数割れ 新人医師の道内臨床研修


 医師免許を取得予定の医学生と研修先の病院を仲介する「医師臨床研修マッ
チング協議会」が、10月末に全国状況について公表。道が道内関係分を集計
した。道と3大学、研修指定病院などが集まる14日の臨床研修病院連絡協議
会で、集計結果を示す。

 道によると、三大学を選んだ医学生は、初期研修が必修化された二○○四年
度は二百十一人(全体比率で66・9%)いたが、○五年度に百六十三人(同
50・1%)と半分の割合に減った。百三十三人(うち三大学出身者九十四人)
の○六年度は、さらに43・6%に減る。

 募集定員に対する充足率もいずれも前年度割れし、○六年度は北大が60・
5%、札医大が52・2%、旭医大が28・6%。

 厚生労働省が三月に実施した研修医対象のアンケートでは、一般病院を選ん
だ理由は「症例数が多い」「処遇、待遇が充実」など。大学病院では月給三十
万円前後だが、研修病院では同四十−五十万円が中心で賞与を出すところもあ
るだけに、道は「学生は症例や待遇の差も考慮している」(医療政策課)とみ
ている。

 札医大の複数の教授は「大学病院はへき地の病院や診療所などへの医師派遣
を担ってきた。研修医が指定病院から大学に戻ってこなければ、大学からの医
師派遣が難しくなる」とし、へき地医療への影響を心配している。

 また医療関係者の間では「研修医が指定病院に進出するのは歓迎される面も
あるが、地方の中核病院どまりでは地域医療の充実には結びつかない」との見
方もある。