トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『日刊工業新聞』2005年11月8日付

信州大医学部、法人化以降の産学連携で10数件を臨床試験


 信州大医学部知財活用センターを通じた産学連携で、光学技術が優れたチノ
ン子会社のチノンテック(長野県諏訪市)とは医療用機器レンズで協力する。
デンソー子会社で電機機械器具メーカーのGAC(同安曇野市)とは、同社の
センサー技術で約3件の共同研究を手掛ける。 ほかに、微小センサーをマット
に仕込んだ床ずれ防止寝台などの事例で臨床試験に入っている。

 医学部の産学連携は伝統的に製薬会社とが多いが、同大では地元に中堅機械
メーカーが多いため医工連携に注力する。 臨床試験でのインフォームドコンセ
ントや倫理問題、安全性などをフォローする。 地元・松本市のキッセイ薬品工
業から厚労省の薬事法に詳しい人材を特任教授に招き、05年4月の薬事法改
正でもすぐに新基準に合ったガイドラインを作成した。 医師とのコミュニケー
ションが不安な企業に対し、仲介役の同センタースタッフが同行やアドバイス
を行っている。

 その結果、産学の研究会は体制を整えた法人化以降、参加が毎回60、70
人程度と急増。 2カ月に1回の開催で、1回で5―10社が共同研究申し込み
があるほどになった。

 信州大は医学部や本部(松本市)、工学部(長野市)、繊維学部(上田市)、
農学部(南箕輪村)とキャンパスが分かれている。 全学の産学官連携推進本部
は、ライフサイエンス部門(医・農学部)とナノテク・IT部門(工・繊維学
部)に分け、さらに学部ごとの独自活動を奨励している。