トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

《緊急資料紹介》


   国立大学入学料標準額の値上げは文科相国会答弁に明白に反する

   2005年11月8日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局


 『共同通信配信記事』 2005年11月7日付(he-forum 9310)および『朝日新聞』
2005年11月8日付(he-forum 9312)によれば、国立大学協会総会席上、文部科学
省担当者が、国立大学の入学料標準額を現行の28万2000円から値上げす
る案が財務省において検討されていると報告したという。入学料標準額が値上
げされるならば、今春の授業料標準額値上げの際と同様、必然的に運営費交付
金の削減をもたらす。本事務局は、直ちに大学関係者が入学料標準額値上げ策
動を阻止するために行動を開始されることを訴えるものである。その際、有力
な武器の一つとして、入学料標準額値上げを明確に否定、あるいは値上げ抑制
を主張した文部科学大臣の国会答弁があるので、資料として紹介する。

 この点については、意見広告の会ニュース280号(2005年5月19日)においても
資料の紹介と解説があるので、合わせて参照いただきたい。


【参議院文教科学委員会(2005年5月12日)抜粋】

《小林委員》
入学金についてこれ以上値上げをするということはもうできないというふうに
思いますけれども、いかがですか。

《中山文科相》
この国立大学の入学金につきましても、従来から私立大学の入学料の水準など
の社会経済情勢の変化等を総合的に勘案して改定を行ってきたところでござい
まして、最近の私立大学の入学料の平均額は低下傾向にありまして、国立大学
の入学料とほぼ同額になっているわけでございます。正にこのような状況から
国立大学の入学料は平成十四年度以降据置きとなっているわけでございまして、
平成十八年度入学者につきましても入学料標準額の改定を行わないこととした
ところでございます。

*小林委員と中山文科相との質疑の議事録全文は末尾参照。

【衆議院文部科学委員会(2005年4月22日)抜粋】 

《川内委員》
現時点においては既に国立大学の方が入学金は高いという状況でございます。
入学金は、今までずっといろいろなことを値上げしてきたわけですから、たま
には値下げもして、学生さんや親御さんたちに、なるほど、下がることもある
のかということを一度お示しになられたらどうかなと思いますが、ちょっと御
見解をお示しいただきたいというふうに思います。

《中山文科相》
なかなか難しいと思いますけれども、基本的には、できるだけ抑制していくと
いうことが基本であろう、このように考えております。

*川内委員と中山文科相との質疑の議事録全文は末尾参照。

+++++++++++++
【当該議事録全文(小林委員質問関連)】
[002/003] 162 - 参 - 文教科学委員会 - 9号 平成17年05月12日
○小林美恵子君 では、私は次に、こういう障害者の方でありますとか、障害
をお持ちでない方も含めまして、大学に進学するという観点でいきますと、重
大な問題というのはやっぱり学費の問題が重大だというふうに思います。そこ
で、今から国立大学の授業料、入学金問題で質問させていただきたいと思いま
す。
 私は今年の予算委員会で大学学費問題について大臣にも質問させていただき
ました。大臣は、学費が家庭の年間消費に占める割合は決して小さな額ではな
いということで、御自身のおいごさんのことを引用されながら、家計に負担と
なっているという御答弁をされました。
 確かに、本当に家計に重い負担を強いているのが今の学費だと思います。今
関係者の間から、この二〇〇五年度の予算で国立大学授業料標準額が値上げを
されて、それで今度は入学金が値上げされるんじゃないかという不安の声が上
がっています。
 そこで、私は改めて確認をしたいと思いますけれども、私が予算委員会で質
問させていただいたときに、大臣は結果としてほぼ二年ごとに改定を行ってき
ているというふうな答弁をされました。でも、その二年ごとの値上げというの
は法人化されても変わらない決まりになっているのかどうか、その点をちょっ
とお聞きしたいと思います。

○国務大臣(中山成彬君) 国立大学の授業料及び入学料につきましては、従
来から教育の機会均等の理念を踏まえながら、大学教育を受ける者と受けない
者との公平の観点あるいは私立大学の授業料の水準など、社会経済情勢等を総
合的に勘案して改定を行ってきた、これはこの前も答弁したとおりでございま
す。
 なお、二年ごとの改定という制度的なルールがあるわけではありませんで、
私立大学の状況など、その時々の社会経済情勢等を総合的に勘案して改定を行っ
てきたということでございまして、今後とも適正な水準の維持という観点に留
意しながら、必要に応じて検討することとなるものと考えております。

○小林美恵子君 二年ごとのルールというのは、そういう決まりはないという
ことを改めて確認をさせていただきました。
 それで、お手元に資料が配られたかと思いますけれども、それを是非ごらん
いただきたいと思います。(資料提示)
 二〇〇三年度まででいきますと、随分小さい資料になっておりますけれども、
これは大学入学金の年度別、国立大学、私立大学の年度別の推移でございます。
ブルーが国立大学で、ピンクが私立大学になっています。二〇〇三年度までで
いきますと、授業料と入学金が毎年交互に値上げされています。
 それで、入学金の場合を見ますと、例えば二〇〇四年度でいきますと、国立
大学が二十八万二千円、そして私立大学は二十七万九千七百九十四円という形
になっております。この間、よく大臣も含め財務大臣も、学費の問題、入学金
の問題も含めましてその値上げの理由に、私学との格差を是正するためだとい
うふうによく御答弁をされてこられました。これでいきますと、この表を見て
いただきますと、正にもう私学、私立と国立の入学金においての格差というの
は全くないという状態です。逆に言えば国立、全くないという状態ですよね。
そういう状態でありまして、そういう今まで御答弁されてきた私学との格差の
是正というのはもう通用しないというふうに思うんです。
 この点で私はお聞きしたいと思いますけれども、入学金についてこれ以上値
上げをするということはもうできないというふうに思いますけれども、いかが
ですか。

○国務大臣(中山成彬君) この国立大学の入学金につきましても、従来から
私立大学の入学料の水準などの社会経済情勢の変化等を総合的に勘案して改定
を行ってきたところでございまして、最近の私立大学の入学料の平均額は低下
傾向にありまして、国立大学の入学料とほぼ同額になっているわけでございま
す。正にこのような状況から国立大学の入学料は平成十四年度以降据置きとなっ
ているわけでございまして、平成十八年度入学者につきましても入学料標準額
の改定を行わないこととしたところでございます。
 いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、入学料も含め国立大学の
学生納付金の標準額につきましては、今後とも、私立大学の状況などその時々
の経済社会情勢等を総合的に勘案しながら必要な検討を行ってまいりたいと考
えております。

○小林美恵子君 ここに二〇〇三年度、二〇〇三年度ですかね、二〇〇三年度
の文教科学委員会での会議録がございますけれども、このときに政府参考人の
方がこういう御答弁をされています。近年、授業料と入学料を国立大学隔年で
改定をしてきたという経緯がございますが、厳しい経済情勢を踏まえて、平成
十六年度の入学者、これは入学料を上げる番ではあったんですけれども、今回
は改定を行わないという、こうさせていただいたところでございますというふ
うになっております。
 この当時からいきますと経済情勢はどうかといいますと、厳しい経済情勢は
どうかというふうに考えますと、学費の問題で家計に占める割合というのは小
さな額ではないというふうに大臣も予算委員会で答弁をされました。そういう
点では、経済情勢というのは個々の家庭から見ても厳しい状態になっていると
思います。それで私は、そういう意味からも、次も入学金は上げないというこ
とで、是非強く要望をしておきたいというふうに思います。
 それでもう一つ、大学のいわゆる授業料の標準額値上げの問題についてお聞
きをします。
 昨年十二月の政府予算原案決定時に突然その方針が盛り込まれて、この四月
からいきなり値上げを行うというやり方、もう極めて問題だと関係者からの怒
りの声が上がっています。もう当然のことだというふうに思います。
 私が持ってまいりましたのは、東京大学と京都大学の学長さんがお書きになっ
た文書でございます。この東京大学の学長は、一月二十五日でございましたけ
れども、この標準額の引上げが国立大学法人化が実施される最初の年に政府か
らあたかも当然であるかのように提示されたことを東京大学は極めて遺憾に受
け止めているとあります。また、京都大学の学長は、二月二十二日でございま
すけれども、事務連絡という形で国立大学に通知があって、国立大学の授業料
標準額の改定はないものとして次年度の大学運営を準備していたところへの突
然の通知に大学運営は大いに混乱をしていると。
 少なくとも、平成十七年度予算に組み込まれた国立大学の授業料標準額の改
定は各学長にとって想定外の出来事であったというふうに言われています。つ
まり、大学の関係者にとってみれば大変戸惑いと混乱を生じさせたというふう
に思います。
 私はここでお聞きしたいと思います。こうした混乱を招いたということにつ
いて大臣がどう認識をされているのか。そしてまた、今後、こういう周知期間
が本当に短いやり方で大学の学費について考えるということは、値上げをする
ようなやり方というのは今後やっぱりやめるべきだというふうに思いますが、
その点は、大臣、いかがですか。

○国務大臣(中山成彬君) 今回の標準額の改定というのは、昨年末の予算編
成過程におきまして社会経済情勢等の変化を総合的に勘案して行ったものでご
ざいまして、改定の方針が固まりました十二月に各国立大学法人に対してその
旨を連絡したところでございまして、この連絡を受けまして各大学は、平成十
七年度の授業料の取扱いの検討や学生、保護者に対する情報提供を行うととも
に、授業料の改定を行うことを決定した法人におきましては、学則の改正など
の手続を取った上で、四月以降、新授業料で徴収を行っているところでござい
まして、特に問題は起きていないと承知しておるところでございます。
 大いに混乱したとか、ちょっとオーバーな話になっているなと思うわけでご
ざいます。これぐらいのところはやはり予想をして大学運営はやっていただき
たいなと、このように思うわけでございます。
 なお、今後、こういった標準額を改定する場合におきましては、予算の編成
の問題もありますからなかなか難しいんでございますが、より時間的な余裕を
持ってお知らせする工夫ができるかどうかということにつきましては検討して
みたいと考えております。

【当該議事録全文(川内委員質問関連)】
[001/002] 162 - 衆 - 文部科学委員会 - 11号 平成17年04月22日
○川内委員 私、ちょっと質疑が終了しましたという紙が入ったので、あと一
問だけ、済みません。
 では、授業料についてはそういうことで、あと入学金ですね。入学金につい
ては、大臣も国立大学の方が既に私学より高くなっていると。平成十六年の私
立大学の平均の入学金が二十七万九千七百九十四円、国立大学は平成十四年が
二十八万二千円ということで、現時点においては既に国立大学の方が入学金は
高いという状況でございます。
 入学金は、今までずっといろいろなことを値上げしてきたわけですから、た
まには値下げもして、学生さんや親御さんたちに、なるほど、下がることもあ
るのかということを一度お示しになられたらどうかなと思いますが、ちょっと
御見解をお示しいただきたいというふうに思います。
○中山国務大臣 政治家としては、そういうこともできたらいいなとは思いま
すけれども、現実問題として、確かに逆転現象が起こっているわけでございま
して、これはむしろ、国立大学が上げてきたというよりも、私学が下げてきた
という要因の方が大きいと思うわけでございます。
 今委員御指摘のように、保護者の負担というようなことを考えますと、もち
ろんいろいろ課題があります、物価が下がっている中でなぜだと言われますけ
れども、物価にもいろいろありまして、サービス関係の物価というのはむしろ
上がりぎみでございます。この学校の関係もやはりそういったものに入ると思
うので、そういった中でなかなか難しいと思いますけれども、基本的には、で
きるだけ抑制していくということが基本であろう、このように考えております。

○川内委員 終わります。ありがとうございます。