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『日刊工業新聞』2005年11月7日付 侃々諤々/日本経団連産業技術委員会科学技術政策部会長・笠見昭信氏 第3期(06―2010年度)科学技術基本計画を審議する総合科学技術会 議(座長=小泉純一郎首相)の基本政策専門調査会の作業が、年末の取りまと めに向け最終段階に入った。計画では人材育成とイノベーションの創出が大き な柱となりそうだが、研究開発費の投入目標額などの論議はこれから。 日本経 済団体連合会の産業技術委員会科学技術政策部会の笠見昭信部会長(東芝常任 顧問)に産業界の期待を聞いた。(廻谷忠美) ―第3期計画のポイントをどう見ていますか。 「三つの理念を掲げるだけでなく、その下に六つの大政策目標と12の政策目 標を示したのは、何のための基本計画かが分かりやすくなっていいことだ。 あ とは政策目標をブレークダウンして行動できるものに仕上げて欲しい。 3期で 一番大事なのは、獲得した知をイノベーションにつなげ、さらにイノベーショ ンを通じて社会や経済に成果を還元することだ」 ―産業界の意向は反映されてきていますか。 「日本経団連は『科学技術をベースとした産業競争力強化に向けて』で3期へ の期待を表明している。 柱は研究開発の重点化、人材育成、研究資金の拡充の 三つだ。 米国は引き続き強く、欧州も科学技術政策に力が入る。 韓国や中国 も力をつけてきた。 日本が打ち勝っていくためには、出口を見据えつつ、イノ ベーションの種をいかに骨太のイノベーションにつなげていけるかがポイント だ」 ―人材の育成は3期の大きなテーマです。 「10年先の世界をにらんで人を育てていく必要がある。 日本経団連は先端技 術融合型COE(中核的研究拠点)の創設を提案した。 産学連携は第2期計画 で大きく進んだが、まだ大学の成果を産業界に移転するという段階。 米英の一 流大学のように、もう一歩踏み込んで大学のコアの部分で産学が協働し、将来 の発展分野をにらんで新しい技術を仕込む必要がある。 反映される方向にある が、3期の中で実現したいものだ」 ―宇宙開発などの基幹技術や研究開発費の総額論議はこれからです。 「国家的な基幹技術については独り歩きするのではなく、大政策目標をブレー クダウンする中でしっかりととらえるのがいいと思う。 財政難の中だが、科学 技術の知を骨太のイノベーションにつなぐためにも対国内総生産(GDP)比 1%を実現してほしい」 ―総合科学技術会議の司令塔としての機能強化も課題になります。 「この先5年間は内外でドラスチックな変化が起こるし、日本にとって重要な 時期となるから、司令塔としての役割はますます重要になる」 【略歴】 かさみ・あきのぶ 62年(昭37)東大工卒、同年東京芝浦電気(現東芝) 入社。94年取締役研究開発センター所長、00年副社長、01年監査役、0 4年常任顧問。 この間、01年に総合科学技術会議の科学技術システム改革専 門調査会専門委員、05年に同評価専門調査会専門委員などを務める。 鳥取県 出身、67歳。 |