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新首都圏ネットワーク

『静岡新聞』2005年11月5日付

静岡大に理系新大学院 文科省近く認可 来春開設


 静岡大が法人化後の目玉に掲げ、来年4月の開設を目指す自然科学系新大学
院「創造科学技術大学院(仮称)」が11月中旬にも文部科学省から設置認可
される見通しとなった。浜松キャンパスは光電子工学や情報科学、静岡キャン
パスは環境科学やバイオ科学など地域産業に関連した分野に特化。大学の研究
教育の頂点である大学院博士課程を再編し、大学の個性化を進め、地域や世界
に向けて強力にアピールしたい考えだ。

 新大学院は、現在の理工学研究科と電子科学研究科を改組し、バイオ・環境
領域を加える。博士後期課程の3年制で、学生定員は1学年50人。計画によ
ると、ナノビジョン(ナノテクノロジー=超微細技術=と従来の画像工学を融
合した新分野)工学やバイオサイエンスなど5つの専攻を設け、先端分野で世
界レベルの研究教育の拠点形成を目指す。

 従来の大学院と違う大きな特長が、教員組織「研究部」と学生組織「教育部」
を分けたこと。天岸祥光学長は「教員が学生に研究の手伝いばかりさせていて
は、企業で使える柔軟な人材は育たない。付加価値を付けて社会に送り出した
い」と強調。

 教育部では専門分野だけでなく、他分野や学際領域を学ぶ短期集中講義も予
定し、その中に経営感覚を身につける「MOT」(技術経営)も盛り込む計画
だ。

 教員は高い指導能力を持ち、先端研究に従事する若手人材を中心に厳選する
方針。5年程度の任期制を導入し、教員登用にも競争原理を働かせる。

 天岸学長は「高いレベルの大学院があることは、優秀な学生が集まるなどの
波及効果も期待できる。組織面など法人化による自由度の拡大を最大限に利用
した」と説明。大学院は、文科省の21世紀COEプログラムに選ばれた静岡
大のプロジェクト「ナノビジョンサイエンスの拠点創成」の推進拠点にもなる。