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新首都圏ネットワーク

『神戸新聞』2005年11月3日付

“神大印”今度は日本酒 酒米を開発、純米吟醸酒に


 神戸大学が、農学部で生産した酒米で「純米吟醸酒」を製品化し、ブランド
として売り出す取り組みを進めている。同大はこれまでにも“神大ブランド”
の但馬牛やナシを百貨店で販売し、いずれも完売する人気ぶり。研究実績に基
づく品質の高さが評価されており、吟醸酒も注目を集めそうだ。来年2月に完
成後、発売の予定で、同大は「銘柄」を公募している。(宮本万里子)

 吟醸酒になる酒米は、同大が二〇〇四年、兵庫県と共同で開発した新品種
「杜氏(とじ)の夢」。精米に適した程よい大きさの米粒が特徴で、成長した
時の稲の高さが、酒米の最高級品種とされる「山田錦」よりも低く、倒れにく
いという。

 既に加西市にある同大の農場で約千百キログラムを収穫。年内にも地元の酒
造会社「富久錦」に持ち込んで醸造を委託し、一本七百二十ミリリットルの純
米吟醸酒を千五百本ほど製品化する予定という。価格や販売場所は年内に決定
する。

 吟醸酒は、香りが高く冷やして飲むのに適しており、平均価格は一本三千円
前後。同学部は「品質の高い酒ができるはず。生産や販売の過程を、学生が学
ぶいい機会にもなる」と期待を寄せる。国立大は昨年四月の法人化後、運営面
で独立性が増した分、自主努力が求められるようになり、神戸大では農学部の
ノウハウを生かして特色のアピールに努めている。同様の取り組みでは、信州
大がワインを、九州大が純米大吟醸酒を生産している。

 一方、公募中の酒の名称は神戸大らしさが条件。応募は自由で、氏名、連絡
用メールアドレスとともに電子メールで、同大農学部付属食資源教育研究セン
ターnojyojim@ofc.kobe-u.ac.jpに送る。締め切りは十一月十五日。採用された
人には完成した吟醸酒が贈られる。