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新首都圏ネットワーク

『静岡新聞』2005年11月2日付

「浜医大入試に地域枠」 県内首長らが県に要請 


 自治体病院の深刻な医師不足解消に向けて、公立病院が立地する県内自治体
の首長らでつくる県自治体病院開設者協議会(会長・小嶋善吉静岡市長)が、
浜松医大の医学部入試に地域枠を設けるよう働き掛ける活動に乗り出した。

 県内出身者を優先入学させて、地元出身の医師を養成することが問題解決の
有力な手段―との考え。近く、同協議会のメンバー(理事)でもある石川嘉延
知事に要望書を提出し、県としての取り組みを要請する。

 平成17年度の医学部入試に地域枠を導入した大学は、同協議会や全国自治
体病院開設者協議会などが把握しているだけで滋賀医科大、信州大、佐賀大、
札幌医科大、福島県立医大、岩手医大など7大学。18年度入試ではさらに弘
前大、秋田大、島根大など13大学が導入を予定・検討しているという。

 地域医療の中核的な役割を担う自治体病院は、高度医療、特殊医療、小児医
療、夜間救急、輪番制二次救急医療など多くの不採算部門を抱えている。とこ
ろが、大都市部などへの医師の偏在、診療科偏在などの要因が重なって、全国
の自治体病院で医師不足が深刻化してきた。

 さらに、昨年4月からの医師臨床研修制度必修化で、「医師の卵」が出身大
学の医局人事に縛られずに研修施設を選ぶ傾向が強まり、人手不足に陥った大
学が派遣先病院から医師を引き揚げる動きが出てきた。この動きも、自治体病
院の運営を圧迫する大きな要因の1つになっているという。

 特に小児科や産婦人科については、少子化に加えて過酷な勤務条件、医療訴
訟の多さなどから医師希望者が減少し、各地の自治体病院で診療の縮小・休止
が相次いでいるという。

 浜松医大医学部医学科 平成17年度入試の募集人員は95人。このうち、
高校推薦枠は25人分あるが、地域や学校の指定はない。県内出身の新入学生
は31人だった。5月1日現在の在籍者601人のうち、県内出身者は176
人で約29%。