トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』埼玉版 2005年10月25日付

産・官と連携 大学側の7割
全大学・短大・市町村に県調査 自治体側関心に差  県「縁結び」に奔走


 県内にある58の大学・短大の約7割が、県内市町村や地元企業と連携した
取り組みを行っていることが、県の実態調査で分かった。委員や講師の派遣、
インターンシップなど、連携の形はさまざまだが、大学側が積極的な一方、市
町村の関心には温度差もある。県は「地域経済や文化の活性化につながる」と、
両者のニーズを聞き出して「お見合いリスト」を作成、マッチングに力を入れ
ている。

 調査は、県内の全大学・短大と市町村を対象に、6〜9月に実施され、47
大学(回答率81%)、82市町村(同96・5%)が答えた。

 05年度、大学と連携していると答えたのは43市町村(52・4%)だっ
た。県は「半数近くが、大学との連携をイメージできていないようだ。市町村
内のキャンパスの有無が、関心の度合いに直結してもいる」と分析する。

 実際、大学のある31市町村では、8割以上の26市町村が「連携している」
と回答したのに対し、大学のない51市町村で「連携している」と答えたのは
17市町村で、約3分の1だった。

進む協定締結

 大学と市町村の間では、連携を幅広い分野で恒常的なものにしようと、協定
や覚書の締結も盛んになっている。調査では、連携する43市町村のうち20
市町村、連携する41大学のうち15大学が、「協定や覚書を結んでいる」と
回答している。

 早稲田大学は、地場産業の活性化や街づくりに関する協定を、キャンパスや
付属学校のある所沢、本庄、川口の各市と締結。独協大学も法律や防災など各
分野で、草加市と協定を結んでいる。

 大学に審議会委員やアドバイザーを依頼しているのは28市町村、市民公開
講座に講師派遣を依頼しているのは24市町村あった。21市町村は、学生の
インターンシップを受け入れている。

教授・学生派遣

 大学同士、大学と地元企業の連携も進みつつある。15大学が地域の大学同
士で単位互換制度を設け、8大学が地域の高校生に講義を開放し、単位を認定
している。21大学は、教授や学生が、地元の小、中、高校で授業や部活動を
支援していることも明らかになった。

 企業や商工団体との関係では、9大学が企業支援講座を開講し、13大学が
共同研究などを実施している。23大学の学生は、地元企業との間でインター
ンシップを行っていた。

見合いリスト

 県新産業育成課は、調査で、大学が貢献できる分野と市町村の希望を尋ね、
リスト化した。大学には福祉、産業、科学、文化など10分野で、講師の派遣、
施設開放、共同研究などが可能かを尋ね、ほぼすべての分野で1大学以上、多
い分野で20大学以上が「可能」と答えた。

 市町村からは「地域ブランドの創造」「中心商店街の再生法を共同研究」
「スポーツ施設の開放」「町特産物の料理講習会に講師を派遣」など、大学へ
100件を超える要望があった。

 同課は「地元に大学のない市町村にも、様々な連携の可能性がある。双方の
ニーズを聞き出し、更に多くの連携をあっせんしたい」としている。