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新首都圏ネットワーク

nikkeibp.jp 2005年10月24日付

奈良先端大、平成16年度の知的財産の技術移転収入が1730万円に


 奈良先端科学技術大学院大学の産官学連携推進本部は、平成16年度(2004年
度)の特許出願実績が国内66件、海外8件の合計74件、意匠出願が4件、商標出
願が4件であり、特許の実施権ライセンスなどによる知的財産の技術移転10件に
よる収入が1730万円に達したことを明らかにした。同大の教員1人当たりの技術
移転収入は約8万3600円となり、日本の大学教員1人当たりの平均値約3090円を
大きく上回っている。

 有償の技術移転実績合計10件の内、特許実施権のライセンスが6件、ライセン
スと試料提供の組み合わせが1件(遺伝子組み換え植物で)、著作権が1件、試
料提供が2件(クローンライブラリーなど)である。この中には、米国とス
ウェ-デンの企業2社への技術移転2件が含まれている。また、有償ではなく無償
の試料提供は7件に達した。平成16年度の共同研究の契約件数が112件、委託研
究の契約件数が76件との実績となった。

 平成17年度(2005年度)も年度半ばで知的財産の技術移転収入は既に1000万
円を超し、年度末までに2000万円を超すと予想されている。

 奈良先端大は情報科学研究科などの3研究科で構成され、教員が210数人とい
う小規模な大学院大学だけに、教員に対する産学連携活動のサポート体制が充
実している大学の一つ。平成16年4月1日の国立大学法人(独立行政法人)に移
行した際に設立された産官学連携推進本部は、知的財産部、ビジネス・インキュ
ベーション部、先端科学技術研究調査センター、ベンチャーラボラトリー、産
官学連携室で構成された。

 知的財産部は弁理士3人、分野の専門家3人の合計6人の知的財産コーディネー
ター(特任教授、特任助教授)が知的財産管理や知的財産評価、特許実施権の
ライセンスなどの技術移転をマネジメントする。さらに外部の弁護士や弁理士、
企業の研究開発者などの21人に知的財産専門アドザイザーを依頼し、助言を受
けている。ビジネス・インキュベーション部は5人のコーディネーターが
TLO(技術移転機関)機能や海外・地域との連携を担当する。

 奈良先端大は、21世紀COEプログラム2拠点や知的クラスター創成事業などの
競争的研究資金、企業との共同研究費などを併せた外部資金が平成16年度には
約31億円獲得し、1研究室当たり約6000万円の研究資金を得ている。この結果、
産学連携で優れた実績を示したことから、平成17年7月に文部科学省のスーパー
産学官連携本部事業の対象校6校の一つに選ばれている。平成17年度も6月まで
に19億円の外部資金を既に獲得済みである。(丸山 正明=産学連携事務局編集
委員)