トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『日刊工業新聞』2005年10月20日付

東大と新日石、社会ニーズが分かる若手研究者の育成へ組織連携


 東京大学先端科学技術研究センターと新日本石油は19日、共同研究テーマ
選定の議論を通じ、人材の研究マネジメント能力を高める新しい産学組織連携
を始めたと発表した。大学シーズの移転ではなく、大学の最先端技術を企業の
既存・基盤技術に融合させることを重視し、先端研も費用の一部を負担する。
先端研によるこの「トライアル連携」は、環境・エネルギー分野での同社との
実施が第1号で、他の企業・分野でも検討している。

 共同研究テーマの選定・スタート前に、頻繁に相互の研究室訪問、講演会、
人材の相互派遣などを行い、研究組織をリードする人材の能力を高める。 例え
ば環境・エネルギーでは大学は新エネルギー技術を対象にしがちで、二酸化炭
素削減など現在の課題解決を望む企業とずれがある。 社会ニーズに基づく長期
的戦略立案も含む今回の取り組みで、このずれを埋めるセンスを若手研究者な
どに身に付けさせる。

 期間は3年間。 初期の共同研究費まで含め新日石が1億円を用意するが、先
端研も500万円程度を出す。 産学ともに他機関にも声をかけ、展開を見て競
争的資金獲得につなげる計画だ。