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新首都圏ネットワーク

『毎日新聞』2005年10月18日付

総合科学技術会議:予算概算要求193項を4段階評価


 国の総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)は18日、各省庁が来年度
予算で概算要求している科学技術関連事業193項目について、4段階で評価
した結果を公表した。この内容は年末の予算編成に反映される。

 省庁間の事業の重複を防ぎ、科学技術予算(要求総額3兆8000億円)を
効率的に配分するのが狙い。同会議メンバーと外部の専門家が、積極的に実施
すべきものをS、以下A(着実に実施)▽B(効率的・効果的に実施)▽C
(見直しが必要)−−で分類した。S評価は24項目だった。

 本体誘致先が南仏に決まった国際熱核融合実験炉(ITER)関連は、昨年
度のSからAに降格。米スペースシャトル計画の見直しに伴い、米から「不要」
と通告された国際宇宙ステーションの「生命科学実験棟」開発計画は見直しを
求めるCとなった。

 一方、同会議は科学技術予算配分先の6割(金額ベース)を占める大学や研
究所など140の法人について活動内容を調べ、今回初めて「所見」として公
表した。各法人に対しては、配分した交付金の使い道まで政府が細かく口出し
できないものの、公表することで「投資に見合った成果」を強く促す方針だ。

 公表内容は論文数や特許出願件数、若手や女性の登用状況、所属研究者の受
賞数など8項目の「主要指標」で、研究機関、国立大学をランク付けしている。
同会議のホームページhttp://www8.cao.go.jp/cst
p/で19日から閲覧できる。【元村有希子】


 ■各分野でS評価を受けた24事業■
             (担当省庁、金額は概算要求額)

【ライフサイエンス】
▽たんぱく質解析基盤技術開発(文部科学、11億5000万円)
▽統合データベースプロジェクト(文部科学、3億円)
▽第三次対がん総合戦略研究事業(厚生労働、60億6000万円)
▽エイズ・肝炎・新興再興感染症研究(厚生労働、56億4700万円)
▽遺伝子組み換え等先端技術安全性確保対策(農林水産、5億9900万円)

【情報通信】
▽サイバー攻撃の停止に向けた試行(総務、12億5000万円)
▽サービスロボット市場創出支援事業(経済産業、4億2000万円)
▽革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発(文部科学、11億6000万円)

【環境】
▽都市空間の熱環境評価・対策技術の開発(国土交通、1億5800万円)
▽統合地球観測・監視システム、データ統合・解析システム(文部科学、6億円)
▽気候変動影響モニタリング等経費(環境、4億円)
▽地球環境研究総合推進(環境、43億2600万円)

【ナノテクノロジー・材料】
▽萌芽的先端医療技術推進研究(厚生労働、21億5300万円)
【エネルギー】
▽燃料電池先端科学研究委託(経済産業、12億円)
▽省資源低環境負荷型太陽光発電システムの開発(経済産業、2億5000万円)

【社会基盤】
▽3次元顔画像を用いた個人識別の高度化研究(警察、1800万円)
▽地震・津波観測・監視システム(文部科学、25億8300万円)

【研究環境整備】
▽若手研究者育成(文部科学、1375億1000万円)
▽科学技術振興調整費での新規プログラム(文部科学、90億円)

【人材育成】
▽理科教育等施設整備費補助(文部科学、14億円)

【地域振興】
▽沖縄科学技術研究基盤整備機構の施設整備(内閣府、60億1600万円)
▽知的集積事業の拡充、都市エリア産学官連携促進(文部科学、26億円)

【大学等の施設整備】
▽大学等の施設の整備・老朽化対策(文部科学、337億1300万円)

【基礎研究の推進】
▽教育条件の維持向上・学術研究のための私立大への重点配分(文部科学、5
43億4800万円)