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新首都圏ネットワーク

『読売新聞』2005年10月14日付

研究費補助不正受給、最大5年間の応募資格停止


 文部科学省と厚生労働省、内閣府など1府7省は、公募で研究費を配分する
競争的研究資金の不正受給者に対し一律に罰則を適用する指針を策定した。

 36制度のうち一つでも不正を働いた研究者は最大で5年間、全制度で応募
資格を停止される。不正受給金は加算金を含めて返還を求める。

 競争的研究資金の予算は、政府が活発な研究活動を後押しするために拡充を
進め、2005年度には36制度で総額4672億円にも達している。

 今回の指針は、不正受給の続発で競争的研究資金そのものの信頼性まで失わ
れかねないことから、1府7省が共同で作った。指針によると、文科省の科学
研究費補助金(科研費)など一部の制度で2年前から導入されていた応募資格
停止措置を全制度に取り入れる。不正受給に対しては補助金適正化法に基づき
年率10・95%の加算金を含めて受給金の返還を求める。

 また、不正を行った研究者の氏名、制度名、所属機関、予算額、不正の内容
などの情報を、内閣府が一元管理して関係府省に提供し、別制度での研究資金
獲得という抜け道をふさぐ。関係府省は現在、公募要領に罰則を明記する準備
を進めている。

 科研費を代表とする競争的研究資金の不正受給については、今月4日、慶応
大医学部教授による7500万円の不正プールが明らかになった。昨年度は科
研費だけで旅費の水増し請求や架空取引など7件の不正が発覚し、文科省は最
大3億8000万円(1大学)を返還させたほか、計91人の応募資格を2〜
5年間停止している。

 文科省は「研究資金を5年も断たれれば、研究者生命は終わってしまう。不
正受給は重大な法律違反だという認識を持つべきだ」としている。