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新首都圏ネットワーク

『日刊工業新聞』2005年10月12日付

文科省、21世紀COEプロで03年度採択の中間評価


 文部科学省の21世紀COEプログラム委員会(江崎玲於奈委員長=茨城県
科学技術振興財団理事長)は11日、21世紀COEプロ2年目となる03年
度の採択テーマ133件(5分野)の中間評価を発表した。最高レベルの「順
調に実施され、目標達成が可能」と評価された拠点が58件、「目標達成には
努力が必要」が69件など。 とりわけ京都大学のゲノム科学、病態解明の基礎
医学、先端数学、東京大学の都市空間の持続再生学、強相関物理工学、慶応義
塾大学の幹肝細胞医学・免疫学の拠点などが「世界最高水準の拠点」と評価さ
れた。

 21世紀COEの評価は海外研究機関との連携やユニークな研究手法、博士
教育の実績もポイントとなる。 「計画の変更が必要」と評価されたのは、慶大、
北陸先端科学技術大学院大学、千葉大、関西医科大の4件で、「達成困難」は
なかった。 ほかに大学の申し出による中止が2件あった。

 高評価を受けた拠点について、例えば社会科学分野で東大の「ものづくり経
営研究センター」は、産業界とコンソーシアムを形成して「モノづくり知」を
体系・理論化するという従来の社会科学では見られなかった研究体制を高く評
価した。

 機械・土木・建築・その他工学分野では、名古屋大の「情報社会を担うマイ
クロナノメカトロニクス」がシステム化技術開発で国際競争力があると評価。
熊本大の「衝撃エネルギー科学の深化と応用」は平和利用の爆薬実験施設、衝
撃エネルギー連続発生装置など個性的な設備をそろえた点を挙げた。 東京工芸
大の「都市・建築物へのウインド・イフェクト」はアジア・太平洋諸国の強風
防災センターなどと連携し、風工学の国際拠点化を期待している。

 学際・複合・新領域分野では、富山医科薬科大の「東洋の知に立脚した個の
医療の創生」は新たな総合医学の方向性を目指す姿勢を評価。 徳島大の「スト
レス制御を目指す栄養科学」は同分野にDNAチップやナノバイオデバイスを
導入したユニークな試みを取り上げた。 九州工業大の「生物とロボットが織り
なす脳情報工学の世界」は大学院生が半年ごとに他分野の研究室で教育を受け
る点を評価した。

 数学・物理学・地球科学分野では、東大の「強相関物理工学」は若手教員の
研究室立ち上げ支援や世界規模での成果発信を、京大の「先端数学の国際拠点
形成と次世代研究者育成」は若手研究者の受賞例を指摘した。 医学系では、東
京医科歯科大の「歯と骨の分子破壊と再構築のフロンティア」について、スー
パースチューデント制度やシャペロン教員制度など新たな人材育成システムの
導入が高評価につながった。