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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』北海道版 2005年10月10日付

教育大岩見沢校 耐震工事で労基署、是正勧告

研究室、換気できず
教員、マスク・メガネで防護


 北海道教育大岩見沢校(岩見沢市)で行われている校舎の耐震工事で、岩見
沢労基署が、研究室の換気状況が悪いとして労働安全衛生法違反で同大に、是
正勧告を出していたことが分かった。工事関係者以外は、立ち入り禁止にする
のが一般的だが、同校では校舎に教員がいる状態で行われている。粉じんから
身をまもるためマスクや大きなメガネをして研究する教員もいる。

 同大学などによると、耐震工事は、教員約30人と学生300人が使う鉄筋
コンクリート4階建ての研究・講義棟で行われている。8月から10月末まで
で、柱の入れ替えや窓枠の付け替えなど。

 工事の主要な部分は学生の来ない夏休みに設定。移動を希望する教員には別
室を準備したが、結局は数人が移転しただけだった。実験などで移動できない
教員もいて、判断は個人に任せた。

 9月上旬に実際、工事が始まってみると騒音や振動が激しく複数の教員が
「振動で粉じんが舞い、目やのどが痛い。とても仕事ができない」と、同労基
署に訴えた。

 同労基署が立ち入り検査したところ、騒音や振動などは労働安全衛生法の基
準値内だったが、校舎の外壁をブルーシートや間仕切りで覆って密閉しており、
空気の入れ替えが全くできずに、換気状態は基準の状況に達していなかったと
いう。

 同労基署は9月14日に是正勧告を出し、同大は同月下旬に、換気装置をつ
けた。

 同校の教員組合では「騒音や振動も基準内というが、どれもぎりぎりで、と
ても研究できる環境にないし、学生の指導もできない。全員立ち入り禁止にし
て工事するべきだった」としている。

 北大でも同様の耐震工事を行っているが、代替施設を準備し、現場への教員
や学生の立ち入りを禁止。

 教育大岩見沢校は「勧告を受けたことは申し訳ないと思っている。しかし換
気以外は基準値内。教官らの気持ちも分かるが、予算の問題もあり、よそと同
じようにはできない。健康面も校内の安全衛生委員会でチェックしていく」と
している。

 北海道労働局によると国立大で是正勧告が出ることは珍しいという。